正体不明・見えない何か


気配

155 名前: よだろく 投稿日: 2001/07/19(木) 10:04 
山は山でも飛騨高山なんだが 
幻覚(でなければ)か「物の怪」にあったことがある。 
高山城跡に夜何の気無しに登った時 
2の丸だか3の丸だかの広場の自販機でジュース買って、街灯の明かりを外れて真っ暗闇の原っぱに足を踏み入れた。 
しばらく歩くとものすごい「気配」を感じた。 
風の音に混じって、闇の中で何かが草ッぱらをかき分けて動く音とシュウシュウと言う息? 
そしてこちらをじっと伺っている気配。 
灯りからはずいぶんと離れてしまっている。 
犬なんかじゃない、犬にしては大きすぎないか? 
幽霊でも無い、何か別のモノの気配.... 
自分の前方をゆっくりと左右していたその気配は今度は近づいてきた。 
草がさわさわと掻き分けられて来る。 
じっとり汗が出てきて、後ずさりにどんどん下がった。 
途中で向きを変えて本格的に走ろうとした時に、人の胸くらいの高さにどんよりした赤い目が二つ見えた。 
街灯の灯がようやく届く場所に駆け込むと、その気配は灯のバリア(の様に感じた)の端でじっと停まっているみたいだった。 
車道に戻るには再び光の無いところを通らなければならない。 
どうしようと考えていると、車が通りかかりヘッドライトが辺りを照らした。 
その隙に全力で走って車道に戻り、旅館までひた走りに走った。 
気配はついて来なかった。 

翌日、明るい時に例の場所に行ったが、夏の光の下、広い草原の中で子供が遊んでいた。


何かが落ちた

663 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/11/18 22:41
測量士から聞いた話。
その測量士は声が大きいことで有名だった。
そんな彼が雪山で測量をしていた時の話。
ポールを持って立っていると、背後の樹上でガサガサと音がする。
見上げても何も見えない。が、彼が移動するとまた背後の木から音がする。
そんなことを繰り返しながらも測量は進んだ。
長めの距離を測りはじめた時、死角に入った彼に対して相方が呼びかけた。
とっさに自慢の大声で返事をする。
「おぉ――――いッ!」
ドサッ 
背後で何かが落ちる音がした。
慌てて振り返ったが何もいない。
ただ、雪面に人型の跡だけが残されていた。


山中の声

90 名前: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/01/07 20:29

俺は霊体験も無いが、ただ一つ不思議な話を親父から聞いた。
親父は真面目で嘘をつく様な人間ではない。
毎朝、山仕事で家の近くにある山に行くのが日課になっており、
その日も山で作業をしていた。
人の声が聞こえるから、声のする方に向かったが、声のする方
との距離は縮まらず姿形は全く見えないが、聞こえる声は、
“今日は三人の客が来るから大急ぎで支度をしなきゃならない”
と言っている。一体何事なのかと訝しんでドンドン山奥に入って
いくと、突然声は聞こえなくなり辺りはシーンと静まり返り、
今いる所が何処か全く分からない。

ふと、川の流れる音が聞こえ、その方向に進んでいくと、
小川の向こう岸に蛇・蛙・鼠・鳥など色々な動物の屍骸が、
三つこんもりとした山の形に積まれている光景が現れた。
それを見た親父はどこをどう走ったか、もう無我夢中で駆け、
蒼白の顔をして家に辿り着いた。
それ以来、親父はその光景を見た山に入ろうとはしなかったんだ。


祖父の死因

407 名前: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/03/12 17:56

親父に聞いた話。

30年くらい前、親父はまだ自分で炭を焼いていた。
山の中に作った炭窯で、クヌギやスギの炭を焼く。
焼きにかかると、足かけ4日くらいの作業の間、釜の側の小屋で寝泊まりする。

その日は夕方から火を入れたのだが、前回焼いた時からあまり日が経っていないのに、
どうしたわけか、なかなか釜の中まで火が回らない。ここで焦っては元も子もないので、
親父は辛抱強く柴や薪をくべ、フイゴを踏んで火の番をしていた。

夜もとっぷり暮れ、辺りを静寂が支配し、薪の爆ぜる音ばかりが聞こえる。
パチ・・・パチ・・パチ・・・
ザ・・・ザザザ・・・
背後の藪で物音がした。
獣か?と思い、振り返るが姿はない。
パチ・・・パチン・・パチ・・パチ・・・
ザザッ・・・・ザザ ザ ザ ザ ザ ァ ァ ァ ァ ―――――――――――
音が藪の中を凄いスピードで移動しはじめた。
この時、親父は(これは、この世のモノではないな)と直感し、振り向かなかった。
ザ  ザ  ザ  ザ  ザ  ザ  ザ  ザ  ザ  ザ  ザ  ザ  ザ  
音が炭釜の周囲を回りだした。いよいよ尋常ではない。
親父はジッと耐えて火を見つめていた。
ザ・・・
「よお・・何してるんだ。」
音が止んだと思うと、親父の肩越しに誰かが話しかけてきた。
親しげな口調だが、その声に聞き覚えはない。

親父が黙っていると、声は勝手に言葉を継いだ。
「お前、独りか?」「なぜ火の側にいる?」「炭を焼いているのだな?」
声は真後ろから聞こえてくる。息が掛かりそうな程の距離だ。
親父は、必死の思いで振り向こうとする衝動と戦った。


408 名前: 407 03/03/12 17:58

声が続けて聞いてきた。
「ここには、電話があるか?」
(なに?電話?)
奇妙な問いかけに、親父はとまどった。。
携帯電話など無い時代のこと、こんな山中に電話などあるはずがない。

間の抜けたその言葉に、親父は少し気を緩めた。
「そんなもの、あるはずないだろう。」
「そうか。」
不意に背後から気配が消えた。時間をおいて怖々振り向いてみると、やはり誰も居ない。
鬱蒼とした林が静まりかえっているばかりだった。

親父は、さっきの出来事を振り返ると同時に、改めて恐怖がぶり返して来るのを感じた。
恐ろしくて仕方が無かったが、火の側を離れる訳にはいかない。
念仏を唱えながら火の番を続けるうちに、ようやく東の空が白んできた。

あたりの様子が判るくらいに明るくなった頃、
祖父(親父の父親)が、二人分の弁当を持って山に上がってきた。
「どうだ?」
「いや、昨日の夕方から焼いてるんだが、釜の中へ火が入らないんだ。」
親父は昨夜の怪異については口にしなかった。
「どれ、俺が見てやる。」祖父は釜の裏に回って、煙突の煙に手をかざして言った。
「そろそろ温くなっとる。」そのまま、温度を見ようと、 釜の上に手をついた。
「ここはまだ冷たいな・・」そう言いながら、炭釜の天井部分に乗り上がった・・・
ボゴッ
鈍い音がして、釜の天井が崩れ、祖父が炭釜の中に転落した。
親父は慌てて祖父を助けようとしたが、足場の悪さと、立ちこめる煙と灰が邪魔をする。
親父は、火傷を負いながらも、祖父を救うべく釜の上に足をかけた。

釜の中は地獄の業火のように真っ赤だった。火はとっくに釜の中まで回っていたのだ。
悪戦苦闘の末、ようやく祖父の体を引きずり出した頃には、
顔や胸のあたりまでがグチャグチャに焼けただれて、すでに息は無かった。


409 名前: 407 03/03/12 18:00

目の前で起きた惨劇が信じられず、親父はしばし惚けていた。
が、すぐに気を取り直し、下山することにした。
しかし、祖父の死体を背負って、急な山道を下るのは不可能に思えた。
親父は一人、小一時間ほどかけて、祖父の軽トラックが止めてある道端まで山を下った。

村の知り合いを連れて、炭小屋の所まで戻ってみると、祖父の死体に異変が起きていた。
焼けただれた上半身だけが白骨化していたのだ。
まるでしゃぶり尽くしたかのように、白い骨だけが残されている。
対照的に下半身は手つかずで、臓器もそっくり残っていた。
通常、熊や野犬などの獣が獲物の臓物から食らう。
それに、このあたりには、そんな大型の肉食獣などいないはずだった。

その場に居合わせた全員が、死体の様子が異常だということに気付いていた。
にも拘わらす、誰もそのことには触れない。黙々と祖父の死体を運び始めた。
親父が何か言おうとすると、皆が静かに首を横に振る。
親父は、そこで気付いた。これはタブーに類することなのだ、と。

昨夜、親父のところへやってきた訪問者が何者なのか?
祖父の死体を荒らしたのは何なのか?
その問いには、誰も答えられない。誰も口に出来ない。
「そういうことになっているんだ。」村の年寄りは、親父にそう言ったそうだ。

今でも、祖父の死因は野犬に襲われたことになっている。


相手が悪い

582 名前: 文鳥ちゃん 04/03/08 00:38

ある男が一人で山に登っていた。
するとどうしたことか、途中で靴紐がプツッリと切れてしまった。
今までこのようなことはなかったのでおかしいと思いながらも
修繕してから歩き出すと、今度は反対側の靴紐が切れてしまった。
やれやれ、またか。と思って
近くの木によりかかって直していたら
いきなり後ろから強い力で両肩をつかまれたかとおもうと
「ギャッ!」と叫び声がして、つかんだ相手がとびすさる気配がした。
おそろしくて男がそのまま固まっていると
またもや後方から、しわがれた声で何者達かが会話が聞こえてきた。
「どうした」
「しくじった。」
「二回までも鼻緒を切ってやったというのに。」
「相手が悪い。ソンショウダラニを持っている。」
「それは残念。」
そこまで言うと、背後の気配はサッと消え
後に残るは呆然とした男のみ。

昔、父の知り合いが家に遊びにきたときに
怖い話をねだったら、この話を教えてくれました。
ソンショウダラニというのは、お経の一種だそうです。
(男がお守りとして持ち歩いていたということでしょうか。)


なかなか上手いじゃないか

464:元登山者 04/15(日) 15:16 t9yPDfTo0 
友人から聞いた話です。 

田舎の友人から聞いた話です。 
彼は、田舎で工務店に勤めており、数年前のちょうど今頃の時期に 
会社の持つ山へ木材を確認に行きました。 
木の周りを巻尺で測り、何年か前のリストと比較してみると、かなり 
良い具合に木が生長しているようでした。 
「この具合なら良い値段で木が売れるな。」と 
思った彼は機嫌も良くなり、歌を口ずさみながら作業を終えて 
帰途に着きました。 
帰りの山道を下っていると、後ろの方から人の声がします。 
「材木泥棒か?」そう思った彼は、茂みに隠れていると声は段々と 
はっきり聞こえてきました。歌をうたっているような声です。 
「聞き覚えのある声だな・・」と思ったそうですが、それもそのはず 
自分の声だったそうです。 
自分の後ろから声だけが歌をうたいながら追いかけてきて、隠れている 
彼の前を通り過ぎて行きました。体が固まっている彼の前を通り過ぎ、 
声が聞こえなくなった頃、立ち上がって急いで帰ろうと踏み出した彼の 
耳元で誰かがボソッといいました。 
「なかなか、上手いじゃないか。」 
彼は、転げるようにして逃げ帰ったそうです。 



何者かの気配

495 名前: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 04/04/13 01:49 ID:lkBd4LgV

この間叔父の所有する山へ散策に入ったときのこと。
軽い運動がてら気分で山道をスットコスットコ歩いていると、傍らの木々の間より
何やら動体の気配(音等)がした。
立ち止まって様子を確認するも何も変化がないので、再び歩き出す漏れ。
すると、漏れの動きに合わせるかのように何者かの気配も移動を始める。
怖くなった漏れは「誰か居るのか?」と気配のするほうへ声を掛けるものの
何の返答もなし。
仕方がないので山を降りようと今までとは逆方向へ歩みを進めると
またもや何者かの気配は同じように漏れをトレースしてきた。
恐怖と苛立ちを募らせた漏れは、散策ついでに的当てでも楽しもうと思って持ってきた
狩猟使用も可能な大型スリングショットを気配のする方向へかまえ
鉛弾を数発撃ち込んだ。
次の瞬間「グガッッッ」と犬が咳き込んだような、悲鳴のような声が聞こえ
ガサガサと下生えを蹴散らしながら走り去る四足らしい足音がして
得体の知れない気配は消えた。
その後は麓目がけて猛ダッシュで山道を駆け降り、帰路に就いた。
一体なんだったのやら・・・。


向かってくる

411 名前: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 04/06/01 22:47 ID:ZoD8e65h

ぼんやりとしか覚えてないけど、母に連れられて山道を歩いたことがある。
その道を抜けると少し大きな公園に抜けるらしい、との話だった。

しかし行けども行けども公園は無い。
一本道なので迷うことは無いので、もう少し進んで何も無かったら引き
返そうと考えていた矢先異変は起きた。

少し向こうにある木の枝がこちらに向かってポキポキと折れ、此方に向
かってくる。当然枯れ枝でなく、生木が勝手に折れてくるのだ。

母はそれを見て急いで逃げ帰ったそうだ。
ちなみに道の先には公園は無く母の聞き間違いか勘違いっだったらしい。


4つ足で走る足音

635 名前: 本当にあった怖い名無し [sage] 投稿日: 04/12/03 18:36:46 ID:ECWM8WK4

ところで、先日変なもの(?)に遭遇しました。
夕方といってもまだ日没前で十分に明るい時間でした。
里山の麓の田んぼ道をいつものように飼い犬の散歩で歩いていたのです
が、ふと背後からハッハッという呼吸音とスタッスタッと4つ足で走る足音が
近付いてくるのに気が付きました。
散歩友達の誰かが来たのかな、ずいぶん急いでいるみたいだなと
思いつつ足を止めて振り返ったのですが…犬も人も、何もいません。
それでも、その呼吸音と足音「だけ」はどんどん近付いてきて、そのまま
立ち止まっていた私のすぐ脇を駆け抜けて行きました。
通り過ぎる瞬間、ブワッと顔に風圧を感じたのをはっきり覚えています。
(特に獣臭いとかの匂いはしませんでした)
連れていた飼い犬は柴犬でしたが、首筋の毛を逆立てて固まっていた
だけで吠えたりはしませんでした。
一体何だったのかさっぱりわからないんですが、こんなものの報告例は
以前にもあったでしょうか?


人差し指を口に当て

666:08/20(日) 08:37 L1Siq80LO [sage] 
友人と山道をドライブ中に林道を見つけた。二人とも山が好きな方なので、 
どちらからともなく、少し登ってみようということになった。 
友人は植物好きで、何かを見つけては楽しげに眺め、あれこれ説明してくれた。かれこれ30分ほど 
登った頃、彼が急に立ち止まった。また何か見つけたのだろうと思ったが、黙ったまま動かない。 
彼は時々、妙な体験をすることがあるので、何か見えたのか?などと思い、ドキドキしながら 
尋ねようとすると、それを察したかのように、無言のまま人差し指を口に当て真顔で俺を睨んだ。 

続きます↓ 

667:08/20(日) 08:39 L1Siq80LO [sage] 
続き↓ 
緊張しつつ友人を見つめていると、眉間に皺を寄せて目配せをした。 
『ふたつ、ふ〜た〜つ〜』藪の奥から間延びした小さな声がした。友人は険しい顔をしている。 
『たでる〜たで〜る〜〜』たでる…?食べる?え?どういうこと!?パニックで強張った俺の体を 
友人は無言で反転させ、来た道を戻るよう促した。俺は嫌な汗で背中も掌もビッショリ。 
林道の入口まで声は前後左右に飛び交いながらついてきた。人間には無理な動きだと思う。 
車まで戻れた時は本気で涙が出た。 

拙い文ですみません。最後まで読んでくれて有難うございました



あっちの方を食うとしようか

182:元登山者 04/08(日) 14:25 7eNNPn8i0 
田舎で聞いた話です。 

田舎で聞いた話。老人から聞いた話なので昭和初期か 
大正頃の話だと思います。 

ある猟師が山で獲物を追っていました。 
足跡や通った跡から考えると、かなり大きな熊のようです。 
当時、熊の胆は漢方薬として高値で取引されていたので 
その猟師は「これは良い儲けになる。」と思い、広い山の中を 
二日間も獲物を追っていました。 
二日目の夜、獣が警戒するので焚き火も出来ず、茂みの中に身を 
隠して手持ちの食料で夕食を済ませましたが、一向に空腹が収まりません。 
空腹と、いつまで経っても姿を現さない獲物に対する苛立ちで、その場に 
ゴロンとなり「あ〜あ、干し肉ちょっとじゃ腹の足しにもならん。」 
とつぶやくと、どこからか声がしました。 
「うん、確かに。ワシもお前だけじゃあ腹の足しにならん。あっちの方を 
食うとしようか。」 
と、山のどこからか野太いような地響きのような声がしたそうです。 
猟師はそのまま恐怖で固まってしまい、翌朝、日が昇るまで動けなかった 
そうです。 
日が昇り、あたりが明るくなったころ、猟師は帰ろうと来た道を戻っている 
と、茂みに熊がいました。「もしや、俺の追っていた熊か?」と思い、銃 
を構えましたが、その熊は動きもせず、なんとも様子が変だったので、石 
を当てると、倒れてしまいました。「死んでいたのか?」と近寄ってみると 
中身が無くなって、皮だけになった熊の死骸だったそうです。 
猟師は昨日の声を思い出し、大急ぎで逃げ帰ったそうです。 


アレ

272 名前: 本当にあった怖い名無し 2005/05/04(水) 12:37:29 ID:Pposd8Qm0 

俺は若かりし頃、走り屋だった。 
都会では峠が少なく、あってもすでに潰されているスポットばかりだった。 
そして田舎へ転勤になった。周囲を山に囲まれた赴任先は、俺にとって極楽だった。 

ある夜、見知らぬ峠を開拓するべく深夜の山道をうろついていた。 
そこでスポットを発見した。数台が溜まっている。俺も参加した。 
数本走った後、溜まっている人間とだべっていると、上のほうでスキール音がした。 
やがて下りてきた一台が言った。 
「アレが出たぞ」 

皆は口々に言った。 
「じゃあ帰りますか」「10日ぶりだね」「今日は遅いな」 
そしてリーダー格の一人が、酒と塩と米をそれぞれ小皿に盛って 
溜まり場の一角にあるボロい木の机に置いた。 
「失礼しましたー^^」 
彼は上の方に向かって軽く挨拶をすると、他の人間と一緒に帰っていった。 

続く 


273 名前: 272 2005/05/04(水) 12:49:21 ID:Pposd8Qm0 

それからも何度かその峠に行ったが、時々夜半過ぎになると「アレ」が出たと言って みんな一斉に供え物と挨拶をして帰るのだ。 

「アレとはいったい何なのか」 
潰しやパトカーや近隣住民の類ではないらしい。 
知っているであろう誰に聞いても、明確な答えは返ってこない。ただ 
「もし見たら、おとなしく帰れ」という事は必ず言われた。 

昼間に峠の周辺を探索してみても、神社仏閣は見当たらない。 
自殺の名所でも心霊スポットでもない。 
―――――――――――――――――― 
結局、それが何なのかを知ることなく、俺はその地域から転勤した。 
謎だ。 


獲物

440 名前: 本当にあった怖い名無し 2005/05/13(金) 01:53:28 ID:KjkFSEEo0 

小学校高学年のころ。 

父は山奥に田圃を持っていた。 
家から離れていたため、家族みんなでトラックに乗り、一日がかりで農作業。 
夏休みには自分も連れて行かれた。 
手伝いのないときには「探検」と称して 
過疎で人気のなくなった集落をあちこちしていた。 

その日は曇り空で蒸し暑い日だった。 
初夏でもあり周囲は鳥のさえずりがやかましい。 
ある廃屋の裏の畑を「探検」していた時のことだった。 
畑といっても放置され、すでに雑草で埋まっている。 
その一角に、それはあった。 

まるで地面の一部が角のように天に向かって突き出ているようにも見えた。 
大人より高かったから、高さ2メートル。直径は根元のほうで1メートルぐらいか。 
小山のように盛り上がった「塚」のようなもの。 
全体が幾重にも蔓草に覆われていた。 

「何だろう。」 
蔓草の間から観察すると、平たい小石がびっしりと積み上げてある。 
そしてその小石が崩れた間から、奥に黒い柱のようなものが見えた。 
よく見ると、柱の所々には四角い穴が掘ってあるし、字のような模様もある。 
好奇心に駆られ、もっとよく見ようと蔓草に手をかけたその時。 
異様な雰囲気に気が付いた。 


441 名前: 本当にあった怖い名無し 2005/05/13(金) 01:55:09 ID:KjkFSEEo0 

音がしないのだ・・・。 

まったく消えたわけではない。 
足元で地虫が、ヂィーーーと鳴いている。それだけは聞こえる。 
しかし、さっきまでの鳥のさえずりがどこからも聞こえなくなった。 
まるで息を呑んでこちらを見つめているようにも思えた。 

「まずい・・・」、そう感じて手を引っ込め、引き返そうとした瞬間。 
後ろで、「チッ!」と舌打ちが聞こえた。 
恐怖に駆られ、転げるようにして、家族のところまで走った。 

それからそこには行っていない。 
家族に話したが「さあ、何じゃろうなぁ。」、取り合ってくれなかった。 
そんなものを気にしていては、この山村では暮らせない。 

今では、そこの地域は無人となって、車も入り込めなくなったらしい。 
「あれ」は、山に飲み込まれながら、次の「獲物」を待ち続けているのだろうか。 
この先何百年も。 


山狩り中止
170 :S.S.M ◆l6hJ.jnbP2 :2005/06/04(土) 12:18:10
友人の話。

彼の義理の父親は猟が好きで、地元の猟友会に所属している。
ある時、その猟友会主催で巻狩りが催された。
巻狩りというのは、多勢の猟師が狩り場を四方から取り囲み、獣を追い立てて
捕らえる狩りなのだそうだ。

義父は追い立てられた獲物を仕留める側だった。
息を殺して待つことしばらく。
やがて目の前の繁み奥から乱雑な音が近づいてきた。
猟銃を構え待ち構えていると、耳元の無線が叫ぶ。

撃つな!逃げろ!!

慌てて銃を下ろすと、繁みからは見覚えのある人影が数人飛び出した。
仲間の勢子(追い立てる側)たちだった。
口々に「逃げろ!」と叫び、義父を引きずって走り出す。
何から逃げているのか、皆目見当もつかない。

結局、その時山に入っていた全員が、麓の駐車場まで走って下りることになった。
責任者が狩りの中止を宣言し、その場でお開きとなる。
青い顔をした者に事情を聞いたが、首を振るばかりで何も答えない。

一体何があったのか、今に至るも教えてくれないという。

真後ろからの声

934 :親父RR :sage :2005/08/19(金) 19:33:35 (p)ID:l/Pczxg40(4) 
流れを変えてみるかと、俺がこの夏休みに体験した不思議な話でも投入してみますか。 

二年ほど前にバイク板のとあるスレッドに影響されてオフロードバイクを買い、 
山の林道なんかをあちこち走っているのだが、今年はカミさんの実家の仙台へ帰るついでに 
自分は娘を乗せてバイクで仙台へGO!カミさんと息子は新幹線でGO! 
カミさんは仙台から北へ外れた小さな町の神社の娘で、神社の裏の山は結構大きくて 
地元の人間しか知らないような林道や渓流がある。 
俺は朝、早起きして山中を縦横に走る林道をあっちこっちと走り回っていた。 
ついでに義父さんの釣竿と仕掛けを借りて渓流でスレてない大岩魚を爆釣! 
人数分釣って帰って朝の食卓に上らせていたので、カミさんも子供も大喜びだった。 

935 :親父RR :sage :2005/08/19(金) 19:34:24 (p)ID:l/Pczxg40(4) 
三日目のこと、俺は釣竿を持ち午前四時に出発。 
まだ入ったことの無い林道の入り口を見付け、喜んで走り出した。 
入り口から5キロも入ったところで、道は行き止まりに。 
しかしそこから斜面を降りると良い感じの渓相が見える。 
木に掴まりながら降りていき、早速竿を入れるた。 
この日はとりわけ調子良く、尺モノも混ぜながらバンバン上がる。 
あまりにも調子が良いので夢中になりながら釣り上がっていたら、 
突然その場の雰囲気が一変した。 
明らかに一瞬前とは全く違う雰囲気で、コロコロリーリー鳴いていた 
虫たちの声も聞こえなくなってしまい、俺も糸を垂らしたまま固まってしまった。 
薄明るくなってきたとはいえ、木立の奥はまだ真っ暗で良く見えない。 
脂汗を滲ませながら辺りを伺っていると、突然真後ろから声がした! 


936 :親父RR :sage :2005/08/19(金) 19:35:06 (p)ID:l/Pczxg40(4) 
「うぉいてヶ…」 
しゃがれた何とも言えない不気味な声…俺は振り向くことも出来ない。 
「おいてぃけぃ…」 
なんと言っているか解らない。 
「おいてぃけいぃ…」 
俺の反応が無いからか、声に怒気が篭ってきたようだった。 
俺は必死に、「な、何て言っているかわからねえよ…」と搾り出した。 
突然、腰の魚篭が毟り取られた。 
「むおらってゆぅくぅずをお…」 
しゃがれた声で言うと、それの気配が消えた。 
俺はその場にしゃがみ込み、しばらくは動けなかった。 
真っ青になって実家に戻った俺を見るなり、義父さんは険しい顔をして 
「ヤツらに会っちまったか…」と漏らした。 
「今年は嫁取りの年だから獲物を沢山集めているのだな」 
何がなんだか解らない俺を前に、義父さんと義母さんとカミさんは 
したり顔で話をしている。 
「お前さま、明日から山に入っちゃならねえ。大人しくしとれ」 
義父さんにそう言われて、俺の夏休みは終わってしまった。orz 


937 :親父RR :sage :2005/08/19(金) 19:35:43 (p)ID:l/Pczxg40(4) 
仙台から帰ってからカミさんを問い質すも、のらりくらりとかわされてしまい 
未だ真相は聞けず。チクショー、ナンデコンナニ立場ガ弱エエンダヨ俺ッテヤシハ…。 

以上、つい先日、俺が体験した話です。 


鈴の音

467 名前: 本当にあった怖い名無し 2006/03/30(木) 06:22:51 ID:8aEEQ6/A0 

親父から聞いた話です 

昔四国石鎚山麓にあるおいのかわ(漢字不明)というところでよく怪異に出くわしたと話してくれました 
その場所はほとんど人が立ち入らず、渓流釣りにはもってこいの場所だそうで 
ごくごくわずかな友人と場所を共有していたそうです 

やっと車が通れる道から徒歩30分ぐらいの位置にある川を上りながら釣りをしていると 
よくシャリンシャリン、と鈴の音がついて回ってくるそうです 
特に変なものが見えたり道に迷ったりするわけじゃないのですがずっとその音がついてきます 
釣った魚を持って帰ろうとしても、おいてけーとか聞こえるわけでもないしその魚食べても知る限り祟りとか 
はありませんでした 

どーも石鎚で頑張ってた修験者でもボケてでてきたのかなーと話してた 
また、その場所への獣道では他にも妙なものをよく見かけたそうです 
明らかに場違いな格好をした女性とコンニチハしたり(険しい山道でハイヒールとワンピースだった) 
いかつい胴着を着た青年が居たり(単なる山篭りか?)石工の集団に出くわしたりと明らかにオカシイ場所だそうです 
最後に石の上に座った気味の悪い老人を見かけてから10年以上足を踏み入れてないそうな 

頻繁に怪異に出くわす場所というものが身近にあるとは思わなかったので近いうちに突撃してみたいのですが 
やっぱり変なもの貰って帰る可能性はあるのかなーぁとちょっと心配している根性のないぼく


独演会

148 :義兄の話No.2 1/5:2006/12/06(水) 19:00:49 ID:PAM+Ytqz0
え?山の怖い話?お前さんも物好きだね、どうも。 
こないだの登山靴の話が評判よかった?何処でしてんだよ、そんな話w 

…東京から車で二時間も走れば着く、或る山の中なんだけど川魚の稚魚を漁協が放流してるだかで、勝手に入れない綺麗な渓流があるんだよ。 小さな滝もある、10坪くらいの砂地もある、絶景のロケーションなんだけど、林道に金網張って鍵を掛けて、地元の青年団が結構厳重に管理してるの。 

ところがその青年団の、副団長がおれの大学の同級生でさ、釣りはしない、ゴミは残らず持ち帰るってのを守ってさえくれれば密猟者の監視代わりに自由に使っていいって言ってくれているんだよ。 
お言葉に甘えて、毎年気の置けない仲間で、命の洗濯しに行ってるの、そこに。
で、3年前だったか、おれの中学時代の友人、Bを誘ってそこ行ったときの話。 

Bは高校を卒業すると、音楽の道に進んだんだ。 
音楽って言っても、ジャズね。しかもパーカッション。大変なのは判ってる。 
だけど、奴は夢を叶えようと、20歳のころ、ニューヨークへ武者修行に出た。 
149 :義兄の話No.2 2/5:2006/12/06(水) 19:01:35 ID:PAM+Ytqz0
Bはアルバイトをしながら、N.Y.で20年も頑張ってたんだがとうとうその道で喰えるって処までは行かず、その年、日本に帰って来た。 
女房子供の生活もあるし、心機一転日本でやり直す、って。 
諦めた、って言葉は使わなかったが、流石に寂しそうでさ。 
だから、気分転換にと思って、おれ達の渓流キャンプに誘ったんだよ。 

いつも参加している連中は、勿論慣れたもので、現地に着くとテント貼ったり、メシの支度したりと、それぞれテキパキ働きはじめるんだけどキャンプに慣れないBは、最初は戸惑っていたようだった。それでも、桃源郷もかくや、って絶景を肴に、そのうち楽しそうに酒を呑み始めた。 

やがて日も落ち宴もたけなわって頃、ひたすら呑んでたBはすっかり出来上がって何を思ったか、ナベやらコッヘルやらを嬉々として自分の周りに並べ始めた。 
最初は、酔っぱらって意味不明の行動を始めたのか?と心配してたんだがやがて奴は、菜箸をスティック代わりに両手に握り、いきなり演奏会を始めた。 
たかが空き缶やペコペコのコッヘルがBの手に掛かると立派な打楽器に変身した事に、皆あっけにとられた。 
普通の奴がやると、気に障るってか、うるさいだけじゃん。あんなのとは別格。 
やはり伊達に20年も海外で修行した訳じゃない、って感心したよ。 
Bに初めて会う仲間も何人かいたが、皆惚れ惚れと演奏会を楽しんでた。 

150 :義兄の話No.2 3/5:2006/12/06(水) 19:02:20 ID:PAM+Ytqz0
…演奏が始まって、10分も経った頃かな、おれの隣にいた奴が、 
「おい、オレ達の他に誰かいるぞ。」 
と囁いた。 
おれはぎょっとして耳をそばだててみた。 
確かに、渓流の向こう岸で、息づかいが聞こえる、ような気がする。 
演奏と水音が大きくて判りにくいが、何かの気配は確かに感じられた。 
霊現象と結びつける奴はいなかったけど、この場合、獣の方が逆に怖い。 
Bひとりが、相変わらず陶酔して独演会を続けていた。 

〜タヌキじゃないか?〜クマだったらどうする?〜襲って来るかな?〜 
おれ達が蒼くなってひそひそ声で相談しているのに気がついたか、Bはスティック(=菜箸)を操るテンポを落とし、やがて演奏を終了した。 そのとたん。一瞬なんだが、たしかに向こう岸で「わあっ!」って歓声が挙ったんだ。 

若い女か子供が、何人かで一斉に喜んだ声って感じかなあ。 ほんの、一瞬。 そのあと気配は消え、渓流の水音しか聞こえなくなった。 

151 :義兄の話No.2 4/5:2006/12/06(水) 19:03:00 ID:PAM+Ytqz0
皆の様子を見回すと、全員驚いた顔でお互いの様子を伺ってる感じ。 
今の聞いた?うん、おまえは?みたいな。 
拍手まで聞こえたぞ、って、誰かが言った。 
そのあと、暫くみんな黙っちまってさ。でも耐えきれない恐怖、ってんじゃ無くて今のは何だったんだろ、とそれぞれ考え込んでたんじゃないかな。 

やがて、Bが、なあ、今の何?と震え声でおれに訊いた。 
おれは、さぁ、わかんねェよ、としか答えられない。いやマジで。 

そしたら、仲間内で一番山経験の豊富な男がこんなふうに説明してくれた。 
「たぶん、今のは山の精霊の歓声だと思うな。 
 B君の演奏があまりにも素晴らしいんで、聞き惚れて出て来たんだと思う。 
 君の音楽は山に歓迎されたんですよ。」 
おれは、こいつ、キザなこと言うなぁ、と半ば呆れたが、納得もした。 
まあ、きっとそうなんだろうな、と思った。たぶん、みんなもそうだったと思う。 
そしたら、Bが泣いちゃってさ。 
おれの音楽の腕を、山の神様が認めてくれたんだ!って。 

日本でもアメリカでも認められなかったおれの腕を神様が認めてくれた! 
おれのプレイで山の神様が喜んでくれた!って。 
笑いながら泣いてやんのw 
152 :義兄の話No.2 5/5:2006/12/06(水) 19:03:45 ID:PAM+Ytqz0
「もしかすると、狐とかタヌキが腹鼓の勉強に来てた可能性もあるぜ。」 
と、軽口叩いてやったんだが、Bは、それでも良い、って言うんだよ。 
山の精霊が、自分の演奏で喜んでくれただけで満足だ、って。 

それから、神様だかタヌキ様だか判らない「聴衆」にも振る舞い酒を供えて 
しみじみと呑み直すべ、って事にした。 
Bは、ずっとニコニコ顔で、黙って酒の入ったシェラカップを抱えていた。 
なんだか不思議と、ふっ切れたような表情をしていた。 

…帰りがけに金網のカギを返す為、青年団副団長の家に寄った時確かめたけどやはりあの晩、あの渓流にいたのはおれ達だけだった。 

Bは昔の仲間の紹介で、音楽系の出版社に就職して、堅実な生活を始めた。 
青い目の奥さんも、子供も大事にして、幸せに暮らしてるよ。 
…ただ、もうおれとはキャンプに行かない、って言ってやがる。 
いや、例の体験が原因じゃなく。 
二晩、枕を並べてこりごりしたんだとよ。 
おれのイビキ。


録音

285 :元登山者 :2007/02/24(土) 19:03:00 ID:QPgwSvOa0
部活の後輩から聞いた話です。 

山岳部時代の後輩から聞いた話です。 
彼は鳥が好きで、山岳部に入部してきました。なので、一年中、山に登るときは録音の出来るウォークマンを持ち歩いていました。 
その彼がある山にキャンプに行った時のことです。 
夜の鳥の鳴き声を録音しようと思い、夜になってからテントを出て、キャンプ場から離れた場所にウォークマンを持っていって録音していました。 
結構長めのテープだったので、録音ボタンを押したあとはテントに戻り、翌朝、回収しに行ったそうです。 
翌朝、回収しに行き、テープを再生してみると鳥の鳴き声が入っていて、ちゃんと録音できたと思ったそうです。 
その日の昼に山を降り、帰りの電車で昨夜のテープを聴いていると鳥の鳴き声の中に聞いたことが無いものが入っていました。 
「ヒヒヒヒ、ヒヒヒヒ」と言う、笑い声のような鳴き声です。 
「なんて鳥の鳴き声なんだ?」と思い聞き続けていると、その声が一つではなく、増えているのです。 
「ヒヒヒヒ、ヒヒヒヒ」と鳴き声ばかり聞こえてくるようになりました。 
気味が悪くなり、「先生、これ、なんて鳥の鳴き声ですか?」 
と顧問に聞かせてみると、「おい、これは人の声じゃないか?」 

続きます。 


286 :元登山者 :2007/02/24(土) 19:11:32 ID:QPgwSvOa0
続きです。 

確かに人の声のように聞こえました。 
よく聞いてみると子供のような高い声もあれば、しわがれた声も入っています。 
「おい、このテープいつ録音したんだ?」と顧問に聞かれ 
「昨日の夜です。キャンプ場の近くの茂みにセットました。」 
と言うと、顧問は苦い顔をして「あのな、あの山は昔から神隠しのある山って言われてるんだよ。 
そうじゃなくても城跡があったりといわくが多いんだよ。 
それにな、夜の山にはなにがいるかわからん、今度から夜になってからは録音するのはやめとけ。」 
と、怒られたそうです。 
そのテープは神社に持っていき、彼とテープも御祓いをしてもらいテープはそのまま預けてきました。 
今でも、鳥の声を録音することはあるそうです、しかし、もう夜は絶対に録音しないと決めたそうです。


道しるべ

470 :元登山者:2007/11/20(火) 13:35:32 ID:QHa6WVHk0
友人から聞いた話。 

友人から聞いた話です。 
彼は陸上自衛隊の隊員で、訓練などで山にこもることがあります。 
ある時、山の中で身を隠す訓練をしていて、穴を掘り隠れる訓練をしていたそうです。 
スコップを使って穴を掘っていると、石のようなものに当たった音がしました。掘り出してみると綺麗な球体の石が出てきました。 
邪魔になるので他所に置いて穴を掘り、その中に隠れました。 
土や葉っぱで自分の身を覆い、分からないようにして敵が探しに来るのを待っていたとき、「ガサッ、ガサッ」と藪を掻き分けるような音がして、誰かが来るのを感じました。 
その誰かはうつ伏せが隠れている彼の背中まで来て立ち止まりました。 
「あ、見つかっちまった」と思っていると 
「困るなあ、かってに道しるべを動かしてから。後で戻しとけよ。」 
背中を踏んでいた誰かはそう言ったそうです。 
そのまま、スッと背中の感触はなくなり、誰かは消えたかのようにいなくなりました。 
訓練が終わり、集合したときに「誰か俺を見つけなかった?」 
と聞いて回ったそうですが、誰もいませんでした。 
気味が悪くなり、ちゃんと石を元通りにし、手を合わせて帰ったそうです。 

彼はこの話をした後で、言いました。 
「その、誰かの声なんだけどさ、聞こえたってよりも頭の中に響いてきたような感じなんだよな。その時点で人間じゃないって思うよな。」 
今になって、やっと気が付いたよ。そういいながら苦笑いしていました。


金縛り

517 :元登山者:2007/12/03(月) 16:26:20 ID:LNm2ovl/0
私の体験した話です。 

大学時代、一人で山に登ったときのことです。 
秋の終わりごろに田舎の近くにある山に一泊の予定で行きました。 
夕方にキャンプ地に着き、テントを張ると焚き火をつくり、夕食 
の準備をしながら持参のウイスキーを飲んでいると、後ろの藪で 
「ガサッ、ガサッ」 と藪を分けるような音がしました。 
「誰かきたのかな?」と思い、振り返ろうとしましたが、体が動きません。 
動くのは目だけで、声も出せませんでした。 
「え・・・金縛り?」 と思っていると、音は徐々に近くなり私の真後ろで 
立ち止まると「フーッ、フーッ」と匂いを嗅ぐような息をしていました。 
その何かは、私が手に持っているウイスキーに顔を寄せているような気配 
で、「酒に興味があるのかな?」と思っていると、スッとコップが取られ 
「ぐびっ」と飲んだようです。 
「あ、飲んだ・・」と思った瞬間、「うええええ、げっ」と嘔吐している 
ような息遣いが聞こえ、「カラーン」とコップの落ちた音がしたと同時に 
金縛りが解けました。 
しばらく、呆然としていましたが。コップを拾いに行くと、吐いた跡があり 
ましたが、足跡や何かがいた形跡は全くありませんでした。 
「酒がダメな物の怪もいるんだなあ」と思いました。 


初雪の山

571 :本当にあった怖い名無し:2008/01/22(火) 00:16:12 ID:5GsJ6cOS0
初雪の山は登ってはいけない、 
そういう話しを仲間内でよく聞いたが、滑りやすくなるからだろうと思い 
バカにしてた知り合いは命の危険に晒された。 

彼は登山歴3年くらいの経験の少ないアマだったが勝気な性格で人に頼ったりする事が嫌いだ、 
なんでも1人でするタイプだった。そのときも一人で冬山を登っていたが 
初雪が降り始めていた、積もったのは数センチだったので彼は当初の計画通り登り続けた。 
雪のせいで登山道が分かりづらくなった彼は慎重に登り始めたが不安になりだした。 
道を探しながら歩いていると、足跡があることに気づいた。 
彼は喜んで胸をなでおろした、「この道で間違いないんだ」またいい調子で歩き始めた。 
だが、その足跡に気になる点があった、 
靴の足跡ではない気がする、少なくとも登山ブーツではない。明らかに細すぎるし小さい。 
そのまま足跡を頼りに登り始めた、周りの景色が少し違うなと3年の経験で感づき始めた。 
登山道というより獣道に近く、岩もごろごろして雑林も増えてきて歩きづらくなってきた。 
彼は、その足跡の不気味さも気にかかっていたので、引き返すことにした。 


572 :本当にあった怖い名無し:2008/01/22(火) 00:28:13 ID:5GsJ6cOS0
かなり辺りも暗くなってきて、彼は焦りはじめた。 
急いで自分の足跡を頼りに下山していると、異変に気づいた。 
あの細い足跡が増えている。。。登っているときは1人だけの足跡だったが今は数人ある。 
少なくとも今は3人の足跡が見える。しかも、よおく観察してみると裸足の足跡のように見えた。。 
それに気づくと背筋がゾクゾクして恐怖に襲われた。 
自分を裸足のなにかが後をつけて来てた。。。しかも登山道ではない。 

その時、彼は知り合いのベテラン登山家の言葉を思い出していた 
「初雪の日は登山してはいけないよ。見てはいけないものが見えちまう。 
 普段は見えないものが、雪のおかげで見えることがあるんだ、それは命取りになるから。」 

彼はパニックになりつつあった、暗くなり始め、得体の知れない裸足の足跡、確実に迷ってる。。 
彼は足早に足跡を頼りに下山を始めた 


573 :本当にあった怖い名無し:2008/01/22(火) 00:40:53 ID:5GsJ6cOS0
いくら歩いても登山道には戻れなかった、もう完全に日は落ち足跡も見分けがつかなくなった。 
遭難。。。頭にその言葉が浮かんだが、今日中の下山をあきらめ野宿すると決断した。 
野宿の準備をしていなかったので装備の中で使えそうなのは、 
アルミ箔のような保温カバーとマッチくらいしかなかった。 
彼は風がしのげる大きな岩の下で野宿をする事にした。 
かなり冷えるが雪の降った後で穏やかな夜だったので凍死の心配はなさそうだったが念のため眠らない事にした。 
おちついたところで足跡の事がふと頭に浮かんできた。 
「あの足跡はだれのものだろうか。。他のシカやウサギ、イノシシだろうきっと。。」 
彼は自分の気をごまかすように、小動物の足跡だと解釈するようにしていたが。。 



574 :本当にあった怖い名無し:2008/01/22(火) 00:52:21 ID:5GsJ6cOS0
眠らないように頑張っていた彼はついうとうとして、眠ってしまった。 
彼は物音で目がさめた、それは何かが雪の上を歩く音だった、ザクッ。。。ザクッ。。。ザクッ。。。 
その音は岩の後ろから聞こえていた、 
勝気な彼は小動物だと思い追い払おうと大声を出した「コラッ!!」 
怒鳴っると足跡は遠くえ逃げていった。「やっぱり、イノシシか。。」 
数十分後また足跡が遠くから聞こえてきた、 
ザクッ・・・ザクッ。。。ザクッザクッ。。ザクッザクッザクッ。。 
今度の足音は違った、1人の足音じゃない。。。仲間を連れてきたんだ。。。。 
さすがの彼も恐怖を感じた。「コラッ!!」もう一度おもっきり怒鳴った。 
足音は止まったが、少しするとまた進み始めた、こっちに向かってきてる。。 
もうココまで来ると、奴らが人間だと思わずに入られなくなった。 
数人の人間がこっちに向かってきてる。。 


576 :本当にあった怖い名無し:2008/01/22(火) 01:09:04 ID:5GsJ6cOS0
彼は今までにないほどの恐怖に襲われた。 
体育座りをして目を瞑って祈り始めた、特に宗教には入っていなかったが 
子供のころ祖父や祖母が念仏を唱えていたのをかすかに思い出しながら 
保温カバーに顔も入れて外を見ないようにしながらひたすら、めちゃくちゃな念仏を唱えた。 
足音はまだ聞こえてる。どんどん近くなってきてる。 
ザクッザクッザクッ。ザクッ 
夜中その足音は続き、まるで彼のまわりをグルグル回ってるかのようだった 
彼は一睡もできず半狂乱で念仏をとなえていた、朝が近くなり徐々に明るくなってきたのが分かった。 
足音は次第に遠くになってきていた、彼は安堵した。 
日が昇ったのがわかった、 
足音も完全に聞こえなくなり、彼はおそるおそる保温カバーから顔を出してあたりを見回すと愕然とした。 
周りには何十もの足跡が残っていた、しかも裸足の足跡が、彼は疲労困憊でその足跡を眺めていた 
あまりの恐怖に何も考えられなかったが、荷造りを初めて下山を始めた。 
30分も歩くとその足跡は途中で消えたが、少し歩くと登山道の標識がすぐに見え無事に下山した。 

精神ともに衰弱しきった彼はこれを最後に登山を止めた。 
勝気な彼の性格が変り弱弱しく語るのを見て私は恐怖を覚えた。 


松茸山

333:本当にあった怖い名無し:2009/03/01(日) 22:46:07 ID:0lNxpPXk0
今ならオッケーっぽいんで、長野県の人から聞いた話を書きます。 
実話だとは思いますが、確かめたわけではありません。 
前に書き込んでいたコテの人みたいな上手い文章は書けませんが 
その点はご容赦ください。 

4年前にある村のAさんが松茸山の権利を買いました。 
権利を買うと、その山で松茸が採り放題になります。 
摂ったマツタケは、自分で食べても売っても良いわけですが 
他人に採られてしまっては元も子もないので 
権利を買った人は大抵、周囲にロープを張り巡らせ看板や張り紙で警告します。 
それでも高価な松茸のことですから、警告を無視して盗みにくる人もいるので 
シーズン中は警備の人が巡回しています。 
Aさんも荒っぽい男を数人雇って警備に当たらせていました。 

しばらくして、Aさんのところへ荒くれ男たちが揃って顔を出し 
「仕事を辞めさせてくれ」と言い出しました。 
Aさんは「条件を良くするから」と引き止めましたが 
男たちは「もう辞めさせてくれ」の一点張りです。 
なぜ急に辞めると言い出したのか? 
Aさんが理由を問うと、最初は口ごもっていた男たちも 
やがて重い口を開いて、次のような事情を話しはじめました。 


334 :本当にあった怖い名無し:2009/03/01(日) 22:47:07 ID:0lNxpPXk0
夜中、男たちが懐中電灯を片手に二人一組で見回りをしていると 
林の中からカサカサ・・・という足音が聞こえてきました。 
「盗人か!?」と慌てて音の聞こえる場所へ行くと 
真っ暗な木立の間を、人の足だけが数本歩き回っていました。 
ふくらはぎから上は透けていて、膝のあたりで完全に消えているのに 
実体があるかのように、カサカサと足音は聞こえてくるのです。 
さすがの荒くれ男たちも、待機所へ転げるように逃げ帰りました。 

そんなことが何度かあり、すっかり怯えてしまった男たちは 
揃ってAさんのところへ「辞めさせてくれ」と頭を下げに来たそうです。 

そんなこんなで、誰も夜の見回りをしなくなったので 
Aさんは自分自身で見回りに行ったのですが 
話の通り、カサカサ・・・という足音が聞こえてきたので 
慌てて逃げ帰ってしまい、それ以来、夜は山に近づこうとしませんでした。 

それでも、その年は松茸を盗まれるようなことはなかったそうです。


団地の裏山

848 :本当にあった怖い名無し:2009/07/14(火) 01:08:49 ID:DfUKlvwz0
姉から聞いたんですが、20年程前 当時俺4歳で姉が6歳、団地に住んでた頃の話です。

団地の裏手に山があって、山姥や天狗やお化けが出るから行くなと大人から言われてたそうです。
ダメと言われても行くのが子供、団地の子供達数人で肝試しに裏山に登ることになりました。

俺は年長のお姉ちゃん達に、代わる代わるおんぶや抱っこをしてもらってニコニコしてたそうです。
暫く歩くと、誰かが「なんかおるよ〜」と指差して言うので、みんなでその方を見ると白い何かが
居たそうです。
姉には白い着物に白い鉢巻の若い女性に視えたと、目が合って睨まれたとも言ってました。

みんな、怖くて無言で走って逃げたそうです。俺は、お姉ちゃんに抱かれて後方を見ながら指差し、
「いっためん!いっためん!」と嬉しそうに言ってたそうです。そんな俺を見て姉が振り返ると、
その女が空中に浮いてついて来てたので、さらに怖くなり泣きながら全力疾走したそうです。

逃げ切って団地の公園に着き、見たものを話合ったけど皆それぞれ見たものが違ってたり、何も
見えなかったけど怖かったと言う子もいたそうです。

その日の夜、二階の子供部屋で寝ていると、俺が窓を指差して「いっためん!いっためん!」と、
言い出したので姉は窓を見ないようにして俺を両親の居る一階に連れて行き大泣きしたそうです。
それで両親に裏山に行ったのがバレて怒られ、山に登った子達は神社で御祓いして頂いたそうです。

姉は、TVでゲゲゲの鬼太郎を見ては「いっためん!いっためん!」と言う俺の声に、怯える日々
を過ごしたと言ってました。俺は当時の事は覚えてませんが、今でも目玉おやじと一反木綿とぬりかべが大好きです。

長文&駄文、失礼しました。


キノコの山

650 :本当にあった怖い名無し:2010/01/27(水) 01:00:04 ID:08J3AsSy0
東北辺りの山の中にある集落の話だけど…。
その集落から山中に入り、2つ3つ越えた所に不思議な場所があるんだ。
そこは一見、何処にでもあるような木とかが生い茂ってる普通の山林なんだけど、
夏の終わり頃からその場所は異常な程にキノコ類が生い茂るんだ。地面や朽木、生きてる木にまでびっしりってな感じに。
しかもその殆どが食用になるヤツ。
でも、集落の住人達はその山に入るのは10月に入ってから。
しかし10月に入ると生い茂ってたキノコはその数が急激に減り、収穫と言うほど取れなくなる。
何故9月頃に行って取らないのか?と聞くと、
「その時期の山には神様が居て、その時にそこでキノコを取ってはいけない」との事。
まぁ、自分はキノコとかそんなに好きでも無いから取らないけどね…と笑って居たんだが…。

でも、やはり一面のキノコってのは興味があるので、絶対に取らないからと言う事で案内してもらった訳だが。


651 :本当にあった怖い名無し:2010/01/27(水) 01:23:44 ID:08J3AsSy0
追記
ちなみにその時は9月末で、ギリギリ見れそうだったから。

続き

そんな訳で、集落の知り合いに案内してもらい、その場に辿り着いたんだけど。
話に聞いていた通りにびっしりと生い茂るキノコの山。
でも、その知り合いが言うには何だか少ないとの事…。そしてよく見ると人が複数立ち入った形跡。
どうやら、密猟(?)されてるかも…って話になり、荒らされた形跡を追って山に分け入る事になった。
内心「面倒事になったな…」と思う。
知り合いは、見つけたらココは『私有地』(嘘)なので出て行くようにと言うつもりらしい。
しかし、入り込んだ人間がまだココに居る可能性は低い上に、もし密猟とかの常習犯で逆切れされたらこっちが危険なんだがなぁ…。

とりあえずそう説得し、携帯の電波が届く所まで戻って集落の偉い人に報告する事になった。
で、帰ってきた答えが…。
「昨日一昨日辺りから一台のワンボックスが近隣の村に停められたまま」

まさかとは思うがこの山に入ったかも…って訳で、もしそうなら調べてくれと。


652 :本当にあった怖い名無し:2010/01/27(水) 01:41:35 ID:08J3AsSy0
更に面倒事に…。

再びその山に引き返して探す事になってしまった。
もしもの場合(遭難とか)が考えられるかもとの事だけど。
ぶっちゃけ、多少疲れるもののそれなりの体力があれば入れる山で、
更に複数の人間全員が一度に遭難して動けなくなる可能性は低いと思いつつも協力。
正直密猟、良くてキャンプ愛好集団と予想しながら踏み荒らされた場所を追いつつ奥に行くと…。

僅かに開けた場所に火を使った形跡、そして大量のキノコが入ったリュックを発見。
どう見ても密猟にしか見えない…。
しかし周囲に人影は見当たらず、密猟者が持ち込んだと思われる荷物はその場に置かれたまま…。
どうなってるんだ?と思いつつ、少し離れた場所の木陰に居た知り合いを見ると…。
「今すぐ引き返すぞ」
そう言って早足で山を降り出した。
探さないのか?と思ったが、仕方が無いので一緒に山を降り、電波の届く場所に辿り着いたと同時に知り合いは電話をかけると。

「…密猟者のようだったが、もう終わってた…」


655 :本当にあった怖い名無し:2010/01/27(水) 03:03:06 ID:08J3AsSy0
もうちょっとだけ書くわ。

「終わってた?どう言う事?」
そう聞く自分の質問に、知り合いは非常に微妙な顔で考え込むと…。
「なぁ、キノコの茎の部分って分かるか?」
シイタケとかマツタケの部分を思い浮かべて「分かる」と答える。
「あの木陰に、人の胴程の大きさと太さの茎が数本あったんだよ…」
「… … …」
引き返して見て見ようと思ったが、知り合いは本気で止めに入った。
「とりあえず、今日は帰るぞ。10月になってからもう一回見に行くから」


656 :本当にあった怖い名無し:2010/01/27(水) 03:13:39 ID:08J3AsSy0
帰ったので後日、その知り合いから報告を受ける。

見に行った時には、そのキノコの茎はドロドロに腐れ落ちて既に原型どころじゃ無かったとの事。
そして行方不明扱いの密猟者は車の所有者から身元を調べるたら、県外の特殊な職業(ヤ○ザ構成員)らしいと。
地元のオジジとかオババに聞くと、その山に居るのは神とかと呼べるようなそんな大層なモノじゃなく、
どちらかと言うと物の怪とかそれに近いモノとの事。
10月の出雲の神在月に持って行く茸を栽培(?)してるんだろうな…って。

じゃ、その栽培してる茸を盗難された訳だから、その密猟者は怒った物の怪に襲われて茸に?
茸の傘=頭って事?
宴の席の料理にその茸の傘が並ぶのか?と…。




うまそう

706 :本当にあった怖い名無し:2011/11/11(金) 18:14:02.51 ID:uga3Y1aq0
叔母に聞いた話。

叔母が仲間と険しい山を登っていると、いつの間にかルートを間違えて
迷ってしまったらしい。
皆で元のルートを探しているうちに一人が足を滑らせて転倒し、
不自然に転がっていって視界から消えた。なんと崖へ落ちたそうだ。
(崖は突然現れたように見えたらしい)
ところが仲間は運よく5〜6m下の大きな岩の上に乗っており、
大怪我はしたようだが命に別条はなく、うずくまりながらも
「大丈夫だー」と手を振る余裕を見せたそうだ。
しかし、崖をのぞきこんでいた叔母も急にバランスを崩して滑落。
先に落ちた仲間の側に落ちてしまった。
頭を強く打ち、朦朧としていると遠くから声が聞こえてきたという。
「うまそうじゃ、うまそうじゃ」嬉しそうな子供の声。
しかし、その声は叔母に近づくと絞りだすような苦々しい声で
「なんとまずそうな……」と言ったらしい。

結局、先に落ちた仲間は足の骨折だけだったのに何故か亡くなり、
叔母は顔と腕と肋骨の骨折で助かった。

叔母は「まずそう」と言われたのが今でも許せないと怒っていた。
それで助かったんだから喜べばいいのに…。 おわり。


(コメント)

音はすれども姿は見えず・・・とういのは怪談の定番ですが、山の中でもそういう話はよくあるようです。もちろん諸事情で姿を確認出来ない場合もあります。山中に潜む透明で姿が見えない怪物といえば、ハリウッド映画の『プレデター』を思い出しますが、事実は小説より奇なりと言うように、リアリティがある分、ここにある話の方が怖いような気がします。『祖父の死因』とか『初雪の山』の話とかは、かなりゾッとしますね。『あっちの方を食うとしようか』も怖い話ですが、熊を皮だけ残して食べてしまう存在って、一体なんなんでしょうか・・・。


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