炭焼き爺さんの昔話


一本足

13 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :04/06/21 01:58 ID:iGwZ4qJH
炭焼き爺さんの昔話

山では片足のはねるモノが出る。
それを見た日は小屋(炭焼き中に使う山小屋)から出ちゃならん。
ワシは一本足のはねる猿を何度か見たことがある。
そんときは酒と食い物を山の神様に供えて寝ちまうんだ。
片足のはねるモノは山神様の使いだからな。
見たら片目がつぶれちまう。


あやかし

17 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :04/06/21 02:03 ID:iGwZ4qJH
炭焼き爺さんの昔話

山ではあやかしがよく出る。
それは動物だったり、木や草や石の時もある。
しかし会えば必ず分かる。いいモノでも悪いモノでもなぜか分かるものだ。
いいモノはいたずらする程度だが、悪いモノは危険だ。
目玉ほじくらたり、落ちるはずのない谷に落とされたりして死んだ仲間がいる。


刃物

22 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :04/06/21 02:24 ID:iGwZ4qJH
炭焼き爺さんの昔話

山では必ず刃物を持ち歩け。
あやかしや山に化かされないためにだ。
握りに近い部分を一寸ほど刃引きをしておくこと。
刃引き部分は鬼切口といってあやかしを斬る部分だ。


ちゃんと守れ

30 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :04/06/21 07:41 ID:VqLMXvF0
炭焼き爺さんの昔話

山に限ったことじゃないが、やっちゃいかんことは必ず守れ。
川にションベンするやつは逸物を切っちまうぞ。
ワシはもうちょっとで爺さんに切られるとこだった。


目を守れ

31 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] :04/06/21 08:46 ID:VqLMXvF0
炭焼き爺さんの昔話

山にいるとな、あやかしが目の前に現れることがあるんじゃ。
そん時は左目だけであやかしを見ろ。
悪いモノと思ったら包丁でも鉈でもいい、刃物の背を目に当てろ。
刃をあやかしに向けて目を守るんじゃ。鬼切口が切ってなくてもいい。
じゃないとほじくられるぞ。


山が哭く

37 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] :04/06/21 14:35 ID:O5rt4evp
炭焼き爺さんの昔話

山が哭くことを知っちょるか?
一ケ月も山に籠もってみろ。あれはすごいもんじゃ。
山が笑うこともあるんだぞ。あれは驚いた。
どちらもワシら人の心をざわつかせる奇妙な響きじゃ。
喋ることもあるらしいがワシは聞いたことがないな。




46 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] :04/06/21 18:46 ID:O5rt4evp
炭焼き爺さんの昔話

ワシが子供の頃は狸に化かされたっちゅう話はよく聞いたもんだ。
肥溜めにおとされたっちゅう話は聞いたことはないが、
井戸に落とされたっちゅう話は聞いたことがある。
犬のいる家はよかったが、あの頃はみんな貧しくて犬のいる家なんか珍しかった。
獣よけに犬をもらいたがってる人は多かったな。
狐の嫁入りもよく見た。あの火は本当の狐の仕業でもワシは信じるね。


不思議な男

55 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] :04/06/21 22:36 ID:FXzEHj0K
炭焼き爺さんの昔話

山で不思議な男に会ったことあったな。
こしらえは猟師のように見えたが鉄砲も持ってなかったし、犬もおらんかった。
怪我しちょったようで顔の半分に布を巻いていたな。
炭焼きしとったワシの所にいきなり現れて一晩一緒にいたわ。
天気の話や山の獣の話。薬草なんかの話をした。
ワシも結構物知りじゃと思っておったけどあの男にはかなわんだ。
酒をうまい、うまいと言ってよう飲んじょった。
次の日の朝に山に登って行ってしまったわ。
いなくなってから思ったんじゃが、ワシら持ってきた以上の酒のんじょったわ。
その年の天気はその男の言う通りよう当たったわ。


指が七本

66 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] :04/06/22 07:21 ID:aIt2HHgK
炭焼き爺さんの昔話

川にな、何とも不思議な足跡を見たこともある。
大きさと形は人のものとよう似ていたんじゃが、どう数えても指が7本ある。
見つかる場所はいつも川の土が剥き出てる所じゃ。
河童かと思ったが、ひれはなかったな。
あれは足跡だけで姿はついぞ見なかったわい。



見たこともない骨

98 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] :04/06/23 18:28 ID:ybElyFzC
炭焼き爺さんの昔話

ワシも長い間山の仕事しとるから大抵の動物の骨は見れば分かる。
しかし、何回か見たこともない骨を見たこともある。
猿に似たモノに羽根がある。
猿の腕のある部分に羽根が生えているようじゃった。
気持ち悪うてよう見なかったが、おなじ所で猿と鳥が死んでたようには見えんかったわ。



猿の毛皮

99 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] :04/06/23 18:32 ID:ybElyFzC
炭焼き爺さんの昔話

タラの芽が出る頃じゃったわ。
獣道すらない斜面を登りながらタラの芽を採っちょった。
そういやあの頃は腰にビク下げてたの。
結構採ってな、さて帰ろうっちゅうときに変なモン見つけたんじゃ。
最初は麻袋に見えたんじゃが、よう見れば猿の毛皮じゃった。
猿の毛皮が木に引っかかっちょってな、ひらひらゆれとる。
ワシはそれ見たとき心底肝が冷えたわ。
毛皮に傷がないのに中身だけないんじゃ。
一番大きな穴は口じゃろうが、そこから中身なんか全部出せるもんかね。
そん時な、なんかに見られとると感じたんじゃ。
怖くなってなワシは逃げた。
そいつはついてきおってな、ワシは腰の鉈抜いてな、振り回しながら逃げたわ。
何とか小屋に逃げ込んだんじゃが奴は次の日の朝まで小屋の周りをうろついておった。
あんときはもうだめじゃと思ったわ。


昨日までは生えていなかった木

100 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] :04/06/23 18:37 ID:ybElyFzC
炭焼き爺さんの昔話

山じゃな不思議なことはよくおこるもんだ。
ある日いつも通ってる沢筋に降りる道に一抱えもある木が生えておった。
昨日までは確実になかった。
これは何か意味があると思って沢には降りなんだ。
木は次の日には無くなっとったよ。
山ではな無意味なことは一つとして起きん。
どんなに不思議なことでも意味はあるもんじゃ。
その意味が分かるようになりゃ一人前かの。


女人禁制の山

101 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] :04/06/23 18:40 ID:ybElyFzC
炭焼き爺さんの昔話

女人禁制の山はそれなりに理由があるもんじゃ。
山の神様っちゅうのは嫉妬深くて惚れっぽい。
女神岳に女連れてきゃたいがい怪我じゃ
男神岳に女連れてきゃ魅入られてボケちまう。
どっちにしても悪いことが起きるな。
よく手伝いに来ていた嫁が竹の切り株踏み抜いた、沢に落ちたなんて話きいたな。
神隠しにあって出てきたら頭おかしくなった嫁もあったわ。


優しい山

102 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] :04/06/23 18:45 ID:ybElyFzC
炭焼き爺さんの昔話

山はな、意外と子供には優しいんじゃ。
迷子になったときなんかは不思議な力で里に戻してくれるんじゃ。
ワシもな、子供の頃山で迷ったら綺麗な着物着た女の人に手を引いてもらったわ。
あんな山ん中なのにポックリみたいな下駄掃いててな。
たいして歩かんのに里が見えてな、気付いたときには誰もおらんかった。


不思議な遠吠え

113 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] :04/06/24 19:25 ID:FtPs5mcu
炭焼き爺さんの昔話

ワシはな、不思議な遠吠え聞いたことがある。
高い笛の音のようじゃったわ。
きれぇーな声でな、シリの穴に響く声じゃったわ。
あの声聞いてたら夜の山ん中ふらふら出ていっちまってな。
気づいたときは真っ暗な山ん中じゃ。自分の手の平さえ見えん。
さすがに動けんから地べたに座っちょると何やら変な感じになってくるんじゃ。
座った地べたごと浮いてふわふわしちょる感じじゃ。
斜めんなったり、横になったり、裏返ったり変な感じがしてな。
それに獣だか何だかわからんもんがぎょうさん歩くような音も聞こえる。
ありゃぁ怖かったが。


白い生き物

123 名前:炭焼き爺さん[sage] :04/06/25 00:28 ID:JsOt/zLY
炭焼き爺さんの昔話

山じゃな、白い生き物は大事にされる。
まあ、里でも同じだがな。
今まで蛇と猿の白いの見たの。
お盆近くに夕立きての、小屋の中におったら開けっ放しの戸から白い子猿が入ってきおった。
ワシは肘枕で寝ころんじゃったが猿はおかまいなしじゃったな。
土間で体振ったらそのままちょこんと座りおった。
まあ当然っちゅうような顔しておったわ。
ワシが「かあちゃんおらんのか?」ちゅうたら分かったんかのう、首を振っちょった。
しばらくして雨はまだやんどらんのに出ていってしまったわ。
白蛇は藪ん中を這っとった。
白いイノシシ見たっちゅうやつもおったな。


ぶたれた話

159 名前:炭焼き爺さん[sage] :04/06/25 23:13 ID:JsOt/zLY
炭焼き爺さんの昔話

山じゃ目立つ格好しとった方がええ。
ワシも一回猟師に尻ぶたれたわ。
あれはな、弾ぶたれるより取り出すときのほうがいてえぞ。
焼いた小刀でえぐり出さんといかんからの。


ヒトヅラ

204 名前:炭焼き爺さん[sage] :04/06/27 20:13 ID:tp8gT4q6
炭焼き爺さんの昔話
 
ヒトヅラっちゅうモンをしってるか?
獣なんじゃが人間のような顔しとる。
まるっきり人の顔ってわけじゃないがな。
ワシも見たことがあるわい。
山ん中歩いちょったら犬みたいな獣がおる。背中をワシの方に向けて座っちょった。
どこぞの家から逃げてきたんかと思ってな、口笛を吹いてみたんじゃ。
そしたらその獣がこっち向いたんじゃ。
犬じゃなかった。
妙にのっぺりした顔で、犬ような鼻面じゃあなくて鼻筋が人のようじゃった。
唇はなかっと思うんじゃがな、口が不機嫌そうな形してたわ。
人みたいにつるんとした皮じゃなくてな、短い毛が生えとった。
あそこで奴に何か喋られたら腰抜けてたかもしれんなぁ。
奴はすぐに藪の中に入っていってしまったわ。
あれが話に聞くヒトヅラかと思ったわな。


天狗修行

286 名前:炭焼き爺さん[sage] :04/06/29 11:05 ID:Srjo2iny
炭焼き爺さんの昔話

ワシの釜から沢をいくつか越えた山は有名な御山じゃった。
山伏がいつでも修行してたわ。
ワシも何度か会ったことがあるが面白い連中じゃったわ。
中でも10年近く里に下りておらんちゅう奴がいてな、面白い奴じゃった。
何でも天狗のような神通力を身につける修行しとるらしい。
恐ろしく身が軽くて猿みたいに木に登ったり、ガレ場走り歩いていたわ。
奴が言うには、子供の頃天狗を見てからどうしても天狗になりたかったらしいわ。
最後に会ったときは崖の上に立っちょうてな、なんとかーってでかい声出してな、
ひょいと崖を飛び降りおった。
ワシはあわてて崖の下にまわったんじゃがな、なんも無かった。
よっぽど運が良くなけりゃ死んじまうような場所だったんじゃがのう。
落ちたような跡も、血の跡もなかったわ。
それっきり奴とは会っとらん。


駐在さんの見たもの

287 名前:炭焼き爺さん[sage] :04/06/29 11:12 ID:Srjo2iny
炭焼き爺さんの昔話

炭泥棒がよう起きた時あってな、小屋に駐在さん来たことあったわ。
里に下ろすために炭詰めた俵を盗む奴がおるってな。
ワシはやられんかったが他の奴がやられた。
そんでもって駐在さんが待ち伏せするちゅうて来たんじゃ。
あん頃は仕事中でも駐在さん一緒に酒飲んどったの。
結構な夜中にの、ドスンって音がしたわ。
駐在さん泥棒じゃと思ったんだろうの、止める前に外に飛び出てしまった。
炭俵なら一緒に炭の音がする。じゃけんどそんな音はせんかった。
どうせ真っ暗で何もわからんはずじゃと石油ランプ持っていこうとしたら
駐在さんのでかい悲鳴が聞こえたわ。
こりゃいかんと思ったら駐在さん駆け込んで来ての、泡吹いて卒倒してしまったわ。
ワシは外を覗いたんじゃがなんもみえん。
狸か狐にでも化かされたんじゃろうと思うてな、味噌汁の凍豆腐幾つか投げてやった。
そんで駐在さん寝かしてワシも寝てしもうたわ。
朝になってワシが釜に入れる木を割ってたら駐在さん起きてきおった。
じゃけんど夕べのことはなーんも覚えとらんちゅうとった。


狸の恩返し

372 名前:炭焼き爺さん[sage] :04/07/01 22:29 ID:RgC44alq
炭焼き爺さんの昔話

山で子狸を助けたことあるんじゃ。
何をやったのか木の股に首引っかけて首吊り寸前じゃった。
助けたちゅうても、木から下ろしただけじゃけどな。
それから何日かしてな、小屋の扉をひっかく音がする。
なんじゃと思って外に出てみると茸とでかいイワナが置いてあったわ。
ありゃ狸の恩返しかの。


流れ星

448 名前:炭焼き爺さん[sage] :04/07/03 23:22 ID:syzVgfUi
炭焼き爺さんの昔話

でかい星が流れた時あってな、炭焼きの仲間や猟師の間で騒ぎになったことあったわ。
ホントにな、空の端から端までこうビューっと流れおった。
ワシら炭焼きは気味悪い位にしか思わなかったんじゃが猟師共は違ったの。
獲物が全然捕れなくなったちゅうとった。
それどころか獲物になるような動物が全く見えなくなったちゅうとった。
猟犬も不安そうにしとるらしい。
結局一月ぐらいで徐々に元に戻ったらしいわ。


神様?

524 名前:炭焼き爺さん[sage] :04/07/05 23:21 ID:P5wQJ9I0
炭焼き爺さんの昔話

そういや変な奴に会ったこともあったな。
紙芝居に出てくるような日本の神様みたいな格好しとった。
髪の毛を頭の両側でちまきみたいに結んで、大黒様みたいな白い着物着とった。
あと袋背負ってたな。
そいつがな、大したことない斜面を肩で息しながら登ってきおった。

子供でも駆け上がれるような斜面じゃ。
ワシは「大丈夫か?」って聞いたんじゃが頷くっきりで返事もできんようじゃった。
だいぶ疲れているようじゃったから小屋で休んでけて言うたんじゃ。
そしたら深々お辞儀してな、背負ってた袋の中から一掴みワシに何かかけおった。
なにやら白い粒でな、ポン菓子みたいなもんじゃったわ。
そんでまた歩いていってしまってな。おかしな奴じゃったの。


山神様

525 名前:炭焼き爺さん[sage] :04/07/05 23:24 ID:P5wQJ9I0
炭焼き爺さんの昔話

ワシが一人で炭を焼くようになった頃にな、大きな山崩れで人死にが出た。
2つ3つ離れた町の御大尽が山を買ってな、材木用の木を切り出したんじゃ。
山には山神様の祠があったんじゃがな、きこり達は心得たもんじゃ。
山に入る前に山神様を祀ってな、山神様の斜面には手を付けなんだ。
木もまだ育たんやつは残してな。

じゃけんど御大尽はそれが気にくわんかったらしい。
大した賃金も払わんできこり衆に暇だしてな、新しい人足どもを集めてきよった。
そいつらがまた木の切り方もろくに知らんような奴ばかりらしかった。
そんで山を丸ハゲにしよってな、木を運び出そうとしたときじゃ。
大雨じゃ。風呂桶の底を抜いたような雨じゃった。

2時間も降った頃、人足が入った斜面が崩れたんじゃ。
20人近く犠牲になりおった。
きこり衆は山神様の祟りじゃと騒いでいたわ。
御大尽の方は20人も犠牲出したからな。
警察が入りおってな、何か見つかったんかの、捕まったらしいわ。


蛇穴

110 名前:炭焼き爺さん[sage] :04/07/29 21:50 ID:she5hs4l
炭焼き爺さんの昔話

炭焼きの仲間が蛇穴を見つけたと言ってきおった。
ワシらの中じゃ蛇穴は毒気をだすちゅうて嫌われとる。
たいがいは目印立てて近寄らんようにするんじゃ。
じゃけんど奴は釜に近いから散らしたいちゅうてな、手伝うことになったんじゃ。
蛇穴にはたいてい20匹以上は蛇がおるが、そこは50匹くらいの穴じゃった。

深さはだいたい1m位じゃったの。
ワシらはタバコの葉と杉の葉を鍋で煮てな、それを流し込むことにしたんじゃ。
タバコは虫や動物よけでな、杉の葉はあやかしよけじゃ。
煮汁は冷ましてから入れんと熱に驚いた蛇が飛び出てきて危ないんじゃが、
奴は煮えたぎったまま入れおった。

そしたら穴ん底から甲高い悲鳴が聞こえてよ、ワシも奴も肝を潰したわ。
蛇じゃ絶対にあんな声は出さん。
中を見たかったんじゃが蛇が出てきよるんで近寄れん。
蛇がいなくなってからのぞいたんじゃが、煮汁浴びて死んだ蛇しかおらんかった


山狩り

111 名前:炭焼き爺さん[sage] :04/07/29 21:53 ID:she5hs4l
炭焼き爺さんの昔話

山狩りちゅうのをしたことがある。
里で放火した奴が山に逃げ込んでな、警察の衆じゃ見つからんとお願いされたんじゃ。
きこりと猟師、炭焼きと山に慣れた衆で山に入ったんじゃ。
警察の衆は焦ってたがの、放火犯の逃げ込んだ山聞いてなすぐ見つかると思ったわ。
案の定すぐ見つかったわ。

その山は地形の関係と『何か』の関係で行き着きやすい場所があるんじゃ。
奴を見つけたときは駐在さんに抱きついてきたわ。
駐在さんは変な顔しとったけどな、ワシらは納得したわ。
そん時に山狩りに参加してた奴らは全員『何か』に追っかけられたことがあったんじゃ。
ワシも追っかけられたことがある。

昼でも夜でも初めて一人でその山に入った奴は追っかけられるんじゃ。
ただし1回だけじゃ。きまって山の中腹の平場にでる。
『何か』は足音と唸り声だけなんじゃが・・・
昼間でも怖いのに夜にやられた放火犯は怖かったじゃろうに。


(コメント)

このページは、炭焼き爺さんのハンドルネームで投稿された書き込みをピックアップしたものです。なかなか味わいのある語り口が印象的で、短編ではありますがなかなか面白いです。炭焼き職人も後継者不足から、どんどん人が減ってきているとのこと。山で働いていると不思議な体験も多いとは思いますが、伝統を守って炭焼きを続けていって欲しいものですね。


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