山の神・山の主


女神様

366 :山での話 :03/04/11 06:18 
今の年代の人に、狩りをした事のある人は少ないでしょう。 
昔、私は祖父に連れられて、狸を捕る為に数度、山にトラバサミを仕掛けに行った事があります。 
山にも色々な約束事があります。うろ覚えですが、女山でしたので立ちションベンは、女神様に見える様に頂を向いてする事(性器を見えないように隠すと女神様が怒って、山に遭難します)とか、お弁当は半分食べたら残りは家まで持って帰る事とか、狸の後足は、1本は女神様に御供えする事とか、他にも細かな注意が沢山あったはずでした。 

ある夏休みの日、祖父の家に遊びに来ていた私は、川に泳ぎに行こうとして、気が付くと何故か山の中に居ました。 
昼御飯前に出たはずなのに、あたりは真っ暗で、訳が判らず泣いてしまいました。どのくらい泣いていたでしょう? 
辺りがスゥ〜っと明るくなって、顔を上げると、目の前に青い光が浮いていました。 その光は優し、暖かくて、何故か彼女が助けてくれるのだと解りました。そして、漂い始めた光に付いて行き、山の麓に下りました。 山の麓には幾つもの懐中電灯の光が集まっていました。その中に祖父の姿を見つけ、「おじいちゃん」と声を掛けると、祖父は飛んで来て私を抱きしめました。 そしてすごい剣幕で怒り始めたのです。私が帰ってきたのは、家を出た翌日の夜でした。

その時です。私は変な事に気が付きました。私はたった今山の麓に降り立ちました。ですが、周りを見回すと、そこは山から1キロ程離れた祖父の家の前だったのです。 青い光は何時の間にか消えていました。 その事祖父に話すと、祖父は宴会をすると言って近所の男の人達だけでご馳走を持って、山の祠の前で宴会をしました。僕や、従兄弟達、近所の男の子達も付いていきましたが、皆お酒を飲み、歌って楽器を奏で、踊って、大騒ぎでした。 後で聞いたのですが、「女神様が最近、人が山に入らないので寂しくなってお前を呼んだのだろう」と祖父達は言いました。 その後、他にも一晩だけ、山へ消えた男子が出た事から、毎年夏祭りの後には山の祠で宴会をする様になったそうです。
 

一定量

567 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/11/16 19:21
>>540
俺の実家もかなりの山奥で、山が日常ではあった。
親父は若いころ猟師をしてたし、爺様も今でも木を切ったりしてる。
確かに山は楽しいし、いい遊び場でもある。
でも俺は親父や爺様からずっと言われてた。
山への敬意を忘れたらいかんぞ、と。

俺が生まれてしばらくして、親父は猟をやめた。
最近聞いたことだが、健康体そのものの親父の身体に急に激痛が
走り始め、全く動けなくなっていたそうだ。
病院でも原因不明と言われ爺様と相談したところ、決められた以上の
獲物を取ってしまってからだ、ということになった。
爺様が慌てて山に供え物をして深々とわびをいれた。
その2日後に嘘のように痛みはなくなったそうだ。

親父は今でも山への供え物を忘れない。


一つ目のおじちゃん

661 名前: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/04/05 04:00

子供のころ、家族で山に行ったことがある。山についたのはまだ朝方で、霧が辺りを覆っていた。
僕は親の言い付けを守らず、一人で山中に歩き入り、当然のように迷子になってしまった。何時間
歩き迷っただろうか。太陽はすでに頭の上にあり、お昼を食べ逃した僕は半ベソをかきながら座り
込んだ。

ふと気付いたら、泣いている僕の傍らに人が近づいてきた。両親かと期待したのだが、まったくの別人だった。
奇妙な姿をしていた。毛皮らしい服と麦藁で編んだ帽子。そして恐ろしく背が高い。僕の父より頭二つは確実
に大きかったと思う。話し掛けてきた。ひどく訛っていて、よく分からない。
    
かろうじて「迷子か?」という語だけ聞き取れた。うなづくと、しばらく迷った後、僕を連れ歩き出した。
なぜかすぐに見覚えのある場所に出た。親の声も聞こえる。いつのまにかまた一人になっていた。
親はすぐに僕を見つけてくれた。
(続く)

663 名前: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/04/05 04:09

(続き)
なぜかこの体験を僕は忘れてしまっていた。
つい最近久しぶりにこの山へ行き、そこで思い出したのだ。
家に帰って親に尋ねてみた。両親は僕と違って憶えていた。
「いきなり目の前の茂みからお前が出てきたんだ」
「何処行ってたと聞くと、お前は変なこと言ってたぞ」
親はそこで奇妙な顔になって続けた。

「背の高い、一つ目のおじちゃんに連れて帰ってもらった」
「お前、そう言ってたんだ」

全然憶えていない。僕は自分を助けてくれた人の顔を思い出
せないのだ。本当に一つ目だったのか・・・。
あれから何度かあの山をうろついたが、誰に出会うことも
無かった。せめてお礼をと思い、お酒を僕が見つかった場所
に置いてきただけだ。

取り留めもないですが、僕の奇妙な経験です。


一つ目のおっさん

649 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/11/18 18:01
私の体験です。

現在大学3年でそれは大学2年になってしばらくした時の話です。
久しぶりに地元に帰り、家族に近況報告をすませると何となく昔よく遊んだ近所の山に行って見たくなりました。
外は少し寒かったこともあり、ウイスキーの酒瓶を片手に軽く飲みながら出かけました。
山に入ると、昔と何ら変わってないことを確認できて非常に嬉しかったです。
しばらくそうしてフラフラ歩いていると少し遠くの茂みから、
「こっちにきて飲まないか」
と誘う男の声が聞こえました。茂みの周りは薄く照らし出されていて焚き火をしている様子でした。
酔っていたのも手伝い、別に怪しいとも思わず茂みに行くと男が一人で焚き火をしながら魚を焼いていました。
ウイスキーを渡すと珍しがりずいぶん気に入ったらしく、私に魚を勧めながらいろんな昔話を話し出したのです。
魚は美味しかったし話も面白く、とても楽しかったのを憶えています。
しばらくすると男は「そろそろ帰りな」と言ったので、私はウイスキーの残りはあげると言い立ち上がりました。
すると男は満面の笑顔で魚や山菜などをどっさりとくれました。
その時になってはじめて私は男の顔を見たのですが、目が一つしかありませんでした。
しかし、怖さは不思議と感じず、なぜ今まで気付かなかったのかもわかりません。

その後、祖母に土産を渡しその話をすると、それは山神で善いものに出会ったなと笑っていました。
私も「ああ、だから洋酒をあんなに気に入ったのか」と妙に納得してしまい笑ってしまいました。
またウイスキーを持って行ってみようと思います。


654 名前:649 投稿日:03/11/18 20:21
>>653
その男の話の内容は、昔からその山と周辺を生活圏にしていた人たちの生活の様子でした。
山菜取りにきた親子がいて、子供が転んで大泣きするのを必死であやす親の様子だったり
本当に何でもない事ばかりだったんですが、身振り手振りをつけて親や子供を演じ分けたりと、
中々の芸達者でしたw
話してる間は全然、違和感を感じず普通のおっさんと話してる感覚でしたよ。
だからもしかしたら単に光の加減とかで見間違えた可能性もあると思います。酔ってたしw

ただ転んだ子供の話のときに「着物が破れた」とか言っていたのでもしかしたら
本当に神様で古い話だったかも知れません。そうだったらいいなあって思います。

444 名前: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/12/29 23:20

以前にPart2あたりで、一つ目のおっさん(神様?)と酒飲んだって話を
書いたんですが、後日談が出来てしまいましたw

今、田舎のばあさんの家から書き込んでるんですが、昨日の夜にまたウイスキー
持って山に行きました。
会うことはできなかったんですが、以前と同じ場所に空の酒瓶と山菜が置いてあったんです。

酒瓶はラベルのあたりが多少はがれてたけどピカピカに磨いてありました。
山菜は取ってきたばかりのようで葉がピンとしてみずみずしかったから、
もしかしたら誰かが取って置いてあるのかと思ったんですが、周りに人がいる気配も無く、
これはやっぱりあの時のおっさんかなと思い、ウイスキーを置いて山菜抱えて家まで帰りましたw


髭を伸ばしたお爺さん

782 名前:雷鳥一号 投稿日:03/11/22 01:52
先輩の話。

連休を利用して山歩きしていた時のこと。
無人の山小屋に泊まったのだが、奇妙な夢を見たという。

足先まで髭を伸ばしたお爺さんが、挨拶が無いと言って怒っていた。
先輩はなぜか恐れ入ってしまい、わけも分からず謝ったのだという。
そのうち怒りも薄れたのか、お爺さんは許してくれたそうだ。
許すから酒を出せ、と言われたところで目が覚めた。

妙な夢だったが、内容はしっかりと憶えていた。
確かめようと、最後の夜の楽しみに取っておいた酒の携帯容器を出してみた。
容器は空になっており、一滴の酒も残っていなかったそうだ。


白い着物のお爺さん

807 名前: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/12/12 15:23

雷鳥さん風の話を一つ・・・

私の祖母は沖縄北部の山村出身です。
20くらいの頃、村の寄り合いの為、
近所の仲良しと山をくだっておりました。
夏場の黄昏時、見ると道端の大きな岩の所に
真っ白い着物を着たお爺さんが座っていたそうです。
ニコニコと笑いながら、二人の方を眺めて。
二人が笑い返すと、
「ウン、ウン」と納得したように頷きながら消えたそうです。
若き日の祖母と友人は
「なんだ、山の神さんか・・・」
と納得してそのまま山を下ったそうです。

全くそれだけの話ですが、今は鬼籍に入った祖母から聞いた、
私の好きな話です。


少年

562 名前:本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2005/03/27(日) 00:10:27 ID:Hn7qsygZ0

それはそうと、俺が過去経験した話を。ただ、あまりにも現実離れしてるんで、
自分でも微妙に信じ難いところがあるんですが…。かなりの長文ですので、読
み飛ばして頂いても結構です。

中学時代、夏休みを利用して友達と川釣りに行こうって話になりました。夜中の
午前3時頃に集合、市街地からひたすら自転車をこいで約3時間、目的の川に
到着しました。

早速皆で思い思いの場所に散って釣り糸を垂れましたが、サッパリ釣れません。
ポイントを変えてみるも、やはり駄目。なので、私は徐々に皆から離れて上流へ
と移動していきました。

そして、自分が釣れそうだと思うポイントを見つけて釣り糸を垂れていると…
背後から、川原の石を踏む音がしました。最初は「仲間の誰かが、やっぱり釣
れなくて移動してきたのかな?」程度に考えて無視してたのですが、足音は私
の背後で止まったまま、動こうとしません。「なんだ、釣らないのか?」と言
いながら振り返ったのですが…。


563 名前:562[sage] 投稿日:2005/03/27(日) 00:11:10 ID:Hn7qsygZ0
そこには誰も居ませんでした。更に周囲を見渡すも、居るのは自分1人です。
「あれ?気のせいかな…」
そんな事を1人で呟きながらも釣りを続行しましたが、やがて再び場所を移動し
ようと考え、更に上流へと歩き始めました。

『ここいら辺じゃ駄目だ。今度はずっと奥の方まで移動してやろう』
そう考えながら、川沿いを若干早足で移動します。すると今度は、私の背後を
付いてくる足音がします。
「なんだ、お前も移動すんの?」
と言いながら、また後ろを振り返りました。

すると、今度は確かに人が居ました。ですが、それは友人ではありません。年
の頃は15〜16でしょうか。少年が1人、私のすぐ後を歩いてきます。私が思わ
ず歩くのを止めると、向こうも止まって私の顔を無言で見つめ返してきました。

「なんだか変わった服を着てるなぁ」
というのが、私の第一印象でした。下半身はズボンに近いものを履いているの
ですが、上半身は裾の短い着物を着ています。腰には地味ではあるが、立派な
ナイフ…と言うより、短刀(短剣?)のようなものをぶら下げています。

私は彼を見ても全然驚きませんでした。近くで映画の撮影でもやってるのかと
思ったのです。
今から考えると、あんな田舎の山奥で映画の撮影なんてやってる筈がありませ
ん。それでも、当時の私はそう考えました。

何故そう考えたかと言いますと、まず彼の衣装が、確実に現代のものではない
事。また、背中にまでかかるぐらいの黒い長髪をしていました。更に、これは
私の主観が入ってしまうのですが、その少年がかなりの美形で、俳優と思った
からです。美形とはいっても、ジャニーズ系のような顔とは違うタイプです。
意志の強そうな顔、と言えばいいでしょうか。そんな感じの顔でした。


564 名前:562[sage] 投稿日:2005/03/27(日) 00:11:50 ID:Hn7qsygZ0
「映画の撮影?どっから来たの?俺が釣りしてると邪魔?」
私は彼に聞きましたが、何も答えません。少々困ったものの、『こっちだって
朝早くに起きて釣りしてるんだ、一匹でも釣らないと割に合わない』と思い直
し、さっさと上流へ歩を進めました。

やがて、かなり上流まで到達した私は喉が渇き、腹も減ってきたので携行して
きた食料を食べる事にしました。適当に腰を下ろし、自分で作った握り飯を食
べていると、下流から人が歩いてきます。さっきの少年でした。

私はどう声を掛けて良いか分からず、黙々と握り飯を食べていました。少年は
私のすぐ近くに腰掛けると、こちらを興味有りげに見ています。
『なんなんだよ、気味悪りぃな。言いたいことがあるならさっさと言えよ…』
内心ではそう思いつつも、当たり障りの無い事を話し掛けました。
「もしかして、釣りに来たの?」「その服、どこで売ってるの?」「他に一緒
に来てる人は居るの?」…全て無言で返されました。

やがて、彼の視線が私の持っているペットボトルに注がれているのに気付きま
した。事態の打開を図りたいと思っていた私は、「喉渇いてる?あげるよ?」
と言って手渡しました。

彼はペットボトルを手に取ると、それを太陽に向けて光の反射を楽しんでるよ
うでした。『変わった奴だなぁ…』と思っていると、今度は向こうが私に茶色
の塊を差し出してきました。どうやら食べ物らしいというのは分かったので、
一口齧ってみました。

少々粉っぽいが、僅かな甘みがある。決して不味いものではありませんでした。
「美味しいねぇ、これ。自分で作ったの?」と言うと、初めて「うん、そう」
と答えてくれました。


565 名前:562[sage] 投稿日:2005/03/27(日) 00:15:58 ID:Hn7qsygZ0
それからは、彼も徐々に話してくれるようになりました。腰のナイフを褒める
と、とても喜んで見せてくれました。両刃のもので、やはりナイフというより
は短剣でした。若干青く光っていて、よく手入れされてる感じがしました。
どこで買ったのか聞くと「譲って頂いたもの」と、誇らしげに言いました。

彼の話はまだ続きます。その殆どは山の話でした。そして、この山がいかに豊
かな山であるか、を私に聞かせました。他にも、怪我で動けなくなった人に手
当てをしてあげたとか、山に迷い込んで泣いてる子供を助けてあげたとか、こ
の山に逃げてきた男女を匿ってあげたとか。

今考えれば、きっと古い時代の話なんだと思います。「草履も脱げて…」とい
う一節があったので。ただ、その時は珍しい話に聞き入るあまり、突っ込みを
入れるのを忘れていました。

どれぐらい話していたか…突然、「そろそろ行かないといけないから」と言っ
て彼は立ち上がりました。
別れ際に彼は「今日はすまない。だが、明日もここへ来てみてくれ」と言い残
し、上流へと歩いて行ってしまいました。

結局、その日は一匹も釣れませんでした。他の友人は、小ぶりながらも何匹か
釣っていたというのに。
そして、友人達にこの話をしたものの、誰もその少年は見ていませんでした。

家に帰った私は、両親にこの話をしました。母親は「それって変な人なんじゃ
ないの?」といった感じでしたが、父親は黙って聞いてくれて、「じゃあ、明
日そこに行ってみようか」と言ってくれました。元々山好きな父親(私が山好
きになったのも父親の影響)なので、まともに相手してくれたのかも。


566 名前:562[sage] 投稿日:2005/03/27(日) 00:16:30 ID:Hn7qsygZ0
次の日の朝早く、父親の車でその川まで向かいました。自転車だと3時間掛かる
道程も、車だとあっと言う間です。川に着くと、早速上流へと登り始めました。
やがて、昨日少年と話した辺りに辿り着きました。

私と父親は早速釣り糸を垂れました。が、やはり釣れません。
『なんだ、やっぱり駄目じゃないか…』と思った時。竿に強力な当たりがきま
した。「川魚でこんな強力な引きなんて、おかしいぞ?」と思いながらも、何
とか引き上げてみると、何と1尺超えの岩魚でした。

それからは、面白いように岩魚が釣れました。しかも、その殆どが1尺前後の
ものばかりです。最終的には、8匹もの岩魚を釣り上げました。
自分で釣り上げたとはいえ、信じられない出来事に唖然としてると、父親が
「頂いたからにはお礼をしないと」と、帰り際に山の麓にある小さな祠のよう
な場所へ、一升瓶のお酒を置いていました。

この出来事から何年も経ちましたが、未だに彼が何者だったのか分かりません。
聞く所によれば、山の神様は通常、女性なんですよね?それが男性、しかも
少年というのは聞いたことがないので…。

東北某県、某山の神様は少年ってことなんでしょうか。


577 名前:562[sage] 投稿日:2005/03/27(日) 06:38:18 ID:Hn7qsygZ0
>567-573さん
レス、ありがとうございます。この話は何度か友人達にしたことがあるのです
が、「ちょっとアレな人だったんだよ、それ」と一笑に付されてしまっていた
ので、何だか嬉しいです。

>571さん
この出来事の後、何度か行きました。けれど、少年に会ったのは一度きりで
す。それでも、行く度にお供え(日本酒とペットボトル入りの清涼飲料)はし
ています。特に、ペットボトルはお気に入りだったみたいなので(笑

ちょっと追記ですが、少年は山の話と短剣の話の時は、とても生き生きとして
いました。「短刀を譲ってくれたのは誰?」と聞くと「あちらに居られる」と、
その地域では代表的な山を指し示しました。
意味が分からず「立派そうな短刀だし俺も欲しいんだけど…まだあるのかな?」
という質問には、笑うばかりで答えてくれませんでした。

こんな遣り取りの間も、少年は短刀を空にかざしたり、太陽の光を反射させた
りしていました。誉められたのが余程嬉しかったんだと思います。
兎に角、綺麗な短刀でした。一流の刀鍛冶が打った刀は神聖な感じがしますけ
ど、丁度そんな感じを受けました。淡い青色の光を放つ刀身は、未だに忘れら
れません。

その時、私も登山用としてナイフは携行していたのですが、近所のホームセン
ターで買った安物でした。なので、とても見せる気にはなれませんでした。

それにしても、昔話に聞く山の神様(女性の場合)は美人が多いみたいですけ
ど、男性の場合でもやはり眉目秀麗なんですね。男の私でも、思わず見とれ
る位でしたから(俺はゲイじゃないですよ)。

できればもう一度会ってみたいですが、神様はそうそう簡単に現れるものでは
ないし、多分無理だと思っています。しかし、生涯忘れない良い思い出


二人の女性

632 名前:562[sage] 投稿日:2005/03/31(木) 07:57:33 ID:7JSn77uQ0
Aさんが少年の頃(戦前)、罠を仕掛けては狸や狐、イタチなどの小動物を獲って
は皮を剥いで売っていたそうです(当然、今では許されない事だと思いますが)。
そんなある日の事。Aさんはいつものように仕掛けた罠を見回りに、山へと入りま
した。

「獲らぬ狸の皮算用」をしていたAさんですが、その日の収穫はゼロ。すっかり気
落ちしたAさんは、元来た道を引き返し始めました。
ところが。『通いなれた道、目を瞑ってでも帰れる』自信のある山道であった筈
なのに、周囲の風景がまるで違うのです。「どこかで道を間違えたのか?いいや、
そんな筈は無いんだが…」Aさんは見覚えのある道を探し始めました。

が、行けども行けども知らない場所ばかり。そうこうするうちに日も暮れ始めまし
た。「これはいよいよマズイぞ。下手をしたら、山で夜を明かさないといけない」
何とか元の道に出ようと必死になりましたが、全ては徒労に終りました。

すっかり暗くなった山の中でAさんは途方に暮れました。ところが…。
耳を澄ませると、どこからか人の話し声が聞こえる。最初は幽霊か何かと思ったの
ですが、よくよく見渡せば遠くに灯かりも見える。
「しめた!人が居る!今日はあそこに厄介になろう」Aさんは灯かりを目指して歩
き始めました。

やがて、灯かりのすぐ目の前まで来たAさん。焚き火がチロチロと燃えています。
焚き火を起した主に事情を説明しようとしたのですが、そこで言葉に詰まってしま
いました。


633 名前:562[sage] 投稿日:2005/03/31(木) 07:58:15 ID:7JSn77uQ0
焚き火の前には、2人の人が居ました。どちらも女性で、焚き火を挟んで向かい合
い、何事かを話しています。2人はとても美人で、豪華な着物を着ていました。
『綺麗なのは大変結構なんだが…でも、どうしてこんな山の奥に、女性が2人きり
で居るんだろう?』

何も話せずに突っ立ってるAさんに、片方の女性が「そこでは寒いでしょう、近く
で当たりなさい」と優しく声を掛けてくれました。
Aさんは無言で火の近くに行くと座りました。2人は相変わらず話を続けています。
そこで、Aさんは変な事に気付きました。

目の前の焚き火なのですが、確かに燃えている。燃えてはいるが、薪が無い。ま
た、音も全然無い。ただ、地面の上で火が燃えてるだけなのです。
『こんな火などあるものか。きっと、この2人は人ではない。狐か狸か知らんが、
きっと化かされているのだ…これは大変な所へ迷い込んだものだ…せめて、怒ら
せないように気を付けないと』

さっきまでは「人が居て助かった」と思っていたAさんは、急に心細くなりまし
た。兎に角、目の前の2人は人でない事は確かだ。下手をすれば命まで取られかね
ない…。

すると突然、「お前は、○○の所のAでしょう?」声を掛けられました。先程声
を掛けてきた女性が、いきなり話し掛けてきたのです。
『何で俺の事を知っているのだ…』内心ビクビクしながら、正直に答えようかどう
か迷いました。『正直に答えたら喰われてしまうかも知れん。何せ、今まで俺は
結構な数の狸だの狐の皮を剥いでるんだ。こんな所で仲間の敵討ちなどされたら、
逃げようが無いじゃないか』

「隠さなくても良い、こちらはお前の事をよく知っている。お前の父や母の事も、
よく知っている」
Aさんは何を言われているのか全然分かりませんでした。俺の父親や母親を知って
いるってどういう事だ。


634 名前:562[sage] 投稿日:2005/03/31(木) 08:01:44 ID:7JSn77uQ0
「あまり子供を驚かせるものじゃない。見なさい、怖がってるでないの」
もう1人の女性が、答えに詰まっているAさんを見かねてか、助け舟を出してくれ
ました。彼女は続けて話します。
「私達に化かされていると思ってるみたいだけど、決してそんな事はしないから
安心しなさい。明るくなってきたらね、道を1つ越えて更にずっと下りなさい。
そうすれば、村への道に出られるから」

何とかAさんは声を出しました。
「何で俺の事を知ってるんですか?二人は誰?」
すると、2人はそれぞれ名前を言いましたが、やたらと長くて難しい名前でした。
「立派な名前ですね」
と言うと、二人は笑って返しました。そして、「私達は皆、こんな名前だから」
と言いました。

やがて、夜も明けてきました。すると、
「そろそろ山を下りなさい。さっきも言ったけれど、ここを真っ直ぐ下りなさい。
途中で細い道があるけれど、それを行ってはいけない。その道を越えて、更に下
へと下りなさい」

「その細い道は何の道なんですか?」とAさんは質問しましたが、「知ってもしょ
うがない事だから」と返されるだけでした。
2人に別れを言い、Aさんは山を下り始めました。下りる途中、後ろを振り返りま
したが、既に灯かりは消えて人の気配も消えていたそうです。

女性に言われた通り山を下ったAさんですが、さっき言われたような細い道が見え
てきたそうです。
『ここを下った方が、早く山から出られそうなんだけどなぁ…』そんな考えが頭
を過ぎります。「行っては駄目だと言われたけど、見た目は全然普通の道だし、
この道を下ってしまおう!」


635 名前:562[sage] 投稿日:2005/03/31(木) 08:02:50 ID:7JSn77uQ0
そう思って踏み出そうとした時です。道の奥から人が1人歩いて来るのが見えまし
た。
『なんだ、俺以外にも人が居るじゃないか。やっぱりさっきの2人は狐か狸だ。こ
の道を無視して更に下ったら、滝壺なんかがあるに違いない。危ない危ない、騙さ
れるところだった』

そう思いながら、道を歩いて来る人に声を掛けようとしたAさん。が、相手の姿を
見て絶句してしまいました。
見た目は確かに人でした。そして、昔の貴族の従者が着てるような狩衣を着てい
ます。しかし、Aさんが驚いたのはその人の服装ではありません。

その狩衣を着た人物。袖から出ている手足に皮膚も無ければ肉も無い。要するに
白い骨が剥き出しになっていました。また、顔には目の部分だけに穴を開けた木
の面を被っています。その下も白骨であろう事は、当然予想できました。

そいつがフラフラと道を歩いて来る。『何故白骨が歩けるんだ。これこそおかし
いじゃないか』
Aさんは、とっさに茂みに身を隠しました。逃げようとして下手に動くより、藪
に隠れてやり過ごそうと考えたのです。

その白骨は、相変わらずフラフラと歩いてきます。そして、よくよく見れば何か
を引きずっているようでした。その引きずってる物を見て、Aさんは再度仰天し
ます。


636 名前:562[sage] 投稿日:2005/03/31(木) 08:04:16 ID:7JSn77uQ0
足に縄を掛けられた白骨でした。しかし、引きずっている奴が狩衣を着ているの
に対して、引きずられている白骨は立派な着物を着ています。恐らく、貴族か何
かなのでしょう。

Aさんが推測するに、狩衣の男は主殺しをしたのではないか、との事です。ここ
で言う「主」とは引きずられている貴族風の白骨。その従者たる男はその罪の為
に死罪となったのではないか…。

が、当時のA少年はそんな事を考えるほど余裕がありません。ただただ、『頼む
から気付かれませんように…』と願うのが精一杯でした。
やがて、その白骨はAさんの隠れている茂みの前までやって来ました。そして、
そのまま通り過ぎてくれるかと思いきや…そこで立ち止まって周囲を見渡し始
めました。

『しまった!気付かれたか…』
狩衣の白骨は、縄を持つ方とは逆の手を、そろそろと腰の刀に伸ばします。
もはや、一刻の猶予もなりません。見付かるのは時間の問題であるように思え
ました。いや、既に見付かっているのかも。
『じっとしていても見付かる。ここはイチかバチか…やるしかない』


637 名前:562[sage] 投稿日:2005/03/31(木) 08:08:57 ID:7JSn77uQ0
Aさんは声にならない声を挙げながら藪から飛び出し、一足飛びに道を飛び越え
て、転がるように山を下り始めました。後ろからは刀が空を切るような音がし
ましたが、振り返る勇気などありませんでした。

躓いたり転んだり、枝に顔を打たれたりしながらも必死に山を下り、気付けば
自分の住む村のすぐ近くの道に出ていました。日はすっかり昇っていましたが、
それでも安心できずに村まで駆けて行きました。

村では、「Aが消えた、神隠しにでも遭ったのではないか」と話し合ってる最中
でした。 Aさんは事の次第を両親に話したそうです。それを聞いた両親は「山の神様が息
子を護って下さった」と大層喜んだそうです。また、2人の女性が話した「自分
の名前」ですが、1つは村の近くにある山、もう1つは少々遠方だが有名な山に
居る神様の名前ではないか、との事でした。

狩衣の男と貴族の白骨に関しては、両親も全く知らなかったそうです。Aさん自
身も色々調べてみましたが、結局分からなかったそうです。
もし、Aさんが女性の言う事を聞かずに最初の道を行ったらどうなっていたか、
もし、狩衣の男に捕まっていたら…全ては闇の中です。

Aさんからは他にも色々と話を聞いているのですが、時間に余裕ができたら少し
ずつ書いてゆこうかと思っています。
長文、失礼しました。


吹雪の中の女性

544:元登山者 04/21(土) 11:10 e0/m56ST0 
田舎で聞いた話です。 

田舎で祖父から聞いた話です。 
私の祖父は昔の国鉄に勤めており、とある駅の駅長をしていました。 
時代は戦後間もない頃の冬、最終の汽車を見送り、駅舎の点検や掃除、 
信号のチェックなどをして、帰路につきました。 
その年は例年よりよく雪が降り、その日も一日中、雪が降っていました。 
祖父の勤めていた駅は中国山地にあって、雪の多い場所です。 
サクサクと雪を踏みながら急いでいると、ちらちら程度に降っていた雪から 
急に風が吹いてきて、雪も粉雪から牡丹雪になり、まるで吹雪のようになり 
ました。 

風をもろに顔に受けて、顔がいたくなったので襟巻きで顔を半分隠し前傾 
姿勢で急いでいると前から人が歩いてくるのが見えました。 
ぼんやりとした雪明りの中、良く見ると着物を来た女性でした。 
祖父は幻覚でも見たのか、と思ったそうですが、だんだんと近づいてくる 
女性を見て幻覚ではないと思い、叫びました。 
「おい、あんた。そんな格好でいると凍えてしまうぞ。」 
しかし、女性の方は気にするようでなく、そのまま祖父の方へ向かって 
歩いてきます。 

すみません、続きます。 

545:元登山者 04/21(土) 11:27 e0/m56ST0 
続きです。 

徐々に女性との距離も縮まって、あと少しですれ違うところで 
女性はピタリと止まりました。 
祖父も驚いてとまると、女性は笑顔で祖父に会釈をして 
「心配いただいてありがとうございます。私は平気です。 
 お勤め帰りのところを申し訳ありませんでした。明日の朝には 
 雪を止ませますので今日は気をつけてお帰りください。」 
と言うような事を言い、そのまま歩いていきました。 
「おい、あんた!」と祖父が振り返ると女性の姿は無く 
いつの間にかふぶきは止み、ちらちらと粉雪が降っていました。 
見てはいけない者を見たのだろうか?と思った祖父は 
怖くなり、何度もコケながら雪まみれになって家に着きました。 
火に当たりながら祖父の母(曾祖母)に帰り道で見たものの事を話すと 
曾祖母は「ああ、それは山の神様だね。きっと、どこかに用事で行ってた 
んだろうよ。」 

と事も無げに言ったそうです。 
雪女でも見たんじゃないか、と思っていた祖父は良いものを見たね、と 
曾祖母に言われて、なんとも微妙な気分だったそうです。 


ぬし様

602 名前: 本当にあった怖い名無し 2005/11/20(日) 11:39:42 ID:HVB6oQVC0 

爺様の話 

山で草取りをしていると、背後から肩をトントンと叩かれ 
「ぬし様が通りますので、ちょっと失礼。」と何者かに話しかけられた。 
途端、草刈りのために屈んだ姿勢のまま、体が動かなくなったそうな。 
瞬きもできないまま、しばらく待っていると爺様の背後を 
何か巨大なものがその身をズルズルと引きずりながら通り過ぎていったそうだ。 
恐ろしくて生きた心地もしなかったが、ズルズルという音が聞こえなくなった辺りで 
再び何者かに「ご迷惑をおかけしました。」と耳元で囁かれ 
その瞬間、爺様は盛大に小便を漏らして気絶したそうな。 

気が付くと、時間はさほど経っておらず、日もまだ充分高かったが 
夕暮れまで仕事をする気になれない爺様は、荷物を纏めて早々に家路に着いたそうだ。 
途中、今まで草刈りをしていた山肌をふり返って見たが 
巨大な何かが通ったような痕跡は見つけることができなかったと言う。 


火が点かない

659 名前: 本当にあった怖い名無し 2005/11/22(火) 17:04:35 ID:nPb4xYi80 

爺様ばっかりではアレなんで他の話でも・・・。 

リア小時代の先生の話。 

先生が引率として行った山での宿泊研修で 
夕食の時間にある問題が起こったという。 
班ごとに別れた生徒達が、バーベキューやカレーなどを 
自らが火をおこし、調理をして食べるという手筈になっていたのだが 
どの班も一様に 

「火が点かない」 

と口を揃えて先生に訴えてくる。 
火起こしに慣れたプロの指導員ですら 
どんなに木を擦り合わせても煙も出ない有様だったという。 
天気は乾燥気味の晴れ、風もないのに、何故かまったく火が起きない。 
ライターやマッチなどの火は出るのだが 
いざそれを薪や枯れ葉に燃え移らせても、みるみるうちに消えてしまう。 
これはどうしたことだ、先生達は頭を捻っていると 
指導員の一人が「あっ!!」と、何か思い出したように叫ぶと 
やおら山に分け入っていった。 
何事かと見守ること数十分、体中に泥やら枯れ葉を付着させた指導員が 
フラフラになって戻ってきて 
「どうもスイマセン。山頂の神さんに火を起こす許可を貰い忘れてました。」 
と曰ったという。 
その後、問題なく火は起こり、生徒達はようやく食事にありつくことができたという。 


山の主様

734 名前: 本当にあった怖い名無し 2005/11/29(火) 11:02:59 ID:mpuswWhn0 

じっちゃんから聞いた話。 

昔、やたらと蛇が多く「蛇山」と渾名された山があったそうな。 
その山に入る者には毒蛇にやられるものが多かったという。 

ある時、蛇山に入った猟師が恐ろしい唸り声を聞いた。 
声を辿っていくと、藪の中で真っ白な大蛇が、頭を食いちぎられて息絶えていた。 
その躯には、至る所に巨大な猛禽の爪痕が残っていたという。 
恐ろしさに逃げ帰った猟師が、山で見たことを話すと 
村の老人達は 
「山の主様が代わった。これで蛇は減るだろう。」 
と皆に告げ、その日の内に前代の主である大蛇への供養と 
新たな主である猛禽を迎える儀式が行われたという。 
その後、蛇の被害は減り、代わりに山には鳥が増えたそうだ。 

「その山はよく主が代わるそうでな。白蛇の前は猪、その前は山犬だったそうだ。」 
最後にそう語って、爺ちゃんはこの話を締めくくった。 



湧き水

108 :元登山者 :2007/02/13(火) 00:09:08 ID:lKbvECnD0
私の体験した話です。

大学に入ってからの事です。
春に高校の後輩たちやOBと中国山地のある山に行きました。
その山は美味しい湧き水がある山で有名な山です。
私は山の湧き水や清水を使ってお茶を入れるのが好きなのでそれ用に少しだけ高い茶葉をいつも持って行っていました。
登山の途中で水汲み場のような所で湧き水を汲み、その日のキャンプ場へ向かいました。
その夜は焚き火を囲んでOB、現役でにぎやかに過ごしました。
皆がテントに戻った後も私は焚き火の側に残り、今日の湧き水を沸かしてお茶を飲むことにしました。
コッヘルにお茶を入れて飲むと、とても美味しかったです。
焚き火から少し離れた岩に腰掛けて空を見ながら飲んでいると隣に誰か腰掛けて私に話しかけてきました。
「何してるんだ?」
私は聞き覚えの無い声だな、と思ったのですがOBかと思って「ああ、お茶を飲んでるんです。」と答えました。

すいません、続きます。


109 :元登山者 :2007/02/13(火) 00:25:53 ID:lKbvECnD0
108の続きです。

するとその声の主は 
「うまいのか?」と聞いてきました。
私は「うまいですよ、飲みますか?」と聞くと うん、と言うので別のコッヘルにお茶を入れて戻ると はい、とその人に渡しました。
その人は一口飲むと「うん、うまいな。」と言うので 
「でしょう、ここの湧き水使ったんですよ。水がいいんですよ。」
と言うと「そうか、そのはずだな。」と少し嬉しそうに言うと「ごちそうさま、今度、礼をするよ。」そう言い残して立ち上がり 
どこかに行きました。
「あ、コッヘル・・」と思いましたが、まあ明日会うだろと思いそのまま、「おやすみなさい。」と言い、しばらく後に私もテントに戻りました。
翌朝、朝食の時に昨日の人を探しましたが、同じような背格好、声の人はおらず、変だなあと思いつつ昨日の岩に入ってみるとコッヘルがありました。しかし、コッヘルにはタラの芽が沢山入っています。
「他人のか?」と思いましたが、私の名前が書いてあります。
「そういえば礼がどうのって言ってたが、このことか?」
と思い、コッヘルを持って帰りました。
その日の昼食に早速タラの芽を食べました。湧き水に負けず劣らずの美味しさでした。


山芋とおじさん

737 :本当にあった怖い名無し:2008/01/28(月) 23:16:34 ID:AH7iEpYiO
よくある話だけど、今から20年くらい前の実体験。 

小学校時代によくオカンに登山へつれていかれた。 
すこぶる健脚…というより、落ち着きがないアホガキだった自分は、親や一緒に登山に来てた親の連れてきた同年代の子を置いて、突き進みまくっては分岐点で皆を待つのを繰り返していた。 
どっかの山でもそうやって分岐点でボンヤリ待ってたら、なんかザクザク足元から音がする。 
なんじゃろなってちょっとルートから段差のあった竹薮を覗いたら、知らないおじさんが地面を掘ってた。 
アホガキだから当然竹薮に入って、掘ってる横から抉れた土を覗き込み、「おじさん、なんかあんの?」とか声をかけたら、優しそう顔でこっちを見て、「山芋。試しに掘ってみるか?」なんてスコップを渡してくれた。 
よくわからんが、アホガキだから当然のように手伝う。知らないものは全部やりたがって喜ぶ性格は未だに進歩してない。 
ほそっちょろい芋1本の半分も掘れてない頃に、親が分岐点についたのか自分の名前を呼び出した。 
遊んでくれてありがとうとかなんか言ったら、でけぇ山芋2本握らせてくれて、もっかい頭撫でられて「持って帰れ」って言われた。 
知らない大人に遊んで貰えた上に、頑張ったのが認めて貰えた事に大喜び(色々山の植物について聞きまくって、結局邪魔してるんだろうなって多少は自覚があって、まさか頂けるとは夢にも思ってなかった)で、頭上に両手で芋握りしめて振りまくって居場所アピール。 
オカンがこっちに気付いてくれたから、おじさんにお礼を改まって言おうとしたら、掘った穴ごとおじさんが消えてた。 
ポカンとする自分、手には山芋。 

山芋持ち帰って子供ながらに不可解なあらましをオカンに説明したら、「神様の邪魔までしちゃダメやろ」と笑いながら怒られた。 
皆で集まって、さっきまで自分がいた場所に全員で頭を下げて、自分は当時(自分にとって)メチャクチャ貴重だった板チョコ半分も土に埋めて帰った。 
神様、アホガキの子守ありがとうございました。 


寄り添う女性

563 :聞いた話 ◆UeDAeOEQ0o :2009/02/08(日) 23:01:04 ID:TJdslG2F0
杣人のKさんから聞いた話 

山での仕事を終え、仲間と道端で一服していると 
上方の斜面を知人のEさんが下っているのが見えた。 
奇妙なことに、和装の女性がぴったりと後ろに寄り添っている。 
Eさんは、ヒョコヒョコと妙な歩き方で 
杣道も通らずに斜面を真っすぐ突っ切ってくると 
急勾配の法面を転がり落ち、最後は道路にどさりと横たわった。 

女性のほうはというと、木立が途切れたあたりで立ち止まり 
Kさんと仲間がEさんの方へ駆け寄るのを見届けると 
ヒラリヒラリと山の奥へ斜面を登って消えた。 

「おい!大丈夫か!」 
Kさんが声を掛けたが、Eさんは気を失っており返事もしない。 
とりあえず車に乗せ、そのまま病院へ担ぎ込んだ。 

診断の結果、Eさんは足を骨折していたことが分かった。 
玉切りしている最中に転がった大木に足を挟まれてしまい 
激痛で動くこともできず、その場で気を失ってしまったらしい。 
その後の記憶は全くない、ということなので 
Eさんは意識が無いまま、斜面を数百m下ってきたことになる。 
また、診断した医者によると、Eさんの足は 
「平地ですら歩くのは困難」な状態だったらしい。 

「山の神さんが俺を助けてくれたんだろうな…」 
Eさんは、病院のベッドで不自由な足をさすりつつ 
山の方向に向かって無言で頭を下げた。


山を守る山の神

569 :本当にあった怖い名無し:2009/10/17(土) 10:11:13 ID:RAXV5Vi5O
田舎の幼なじみに地主の家の子が居て大きな山を持っていた。

今くらいの時期、栗やあけび、きのこを幼なじみとその祖父と
飼っている犬と一緒に採りに連れて行って貰っていた。
ある日、山に行くと茂みから大人が二人、慌てて出てきて
私達を見るなり助けを求めてきた。息も絶え絶えに化け物に
追われたと交互に言った。私は怖くなり幼なじみとお爺さんを
見ると普通にしていた。お爺さんは二人にここは私有地だと
言うことを告げ説教をし、下る道を教えた。その後に聞いたら
その幼なじみの家で山の神様を奉っていて関係のない者が

570 :本当にあった怖い名無し:2009/10/17(土) 10:12:06 ID:RAXV5Vi5O
山の物を持ち出そうとすると排除しようとすることだった。
お爺さんはトトロみたいなものだから、幼なじみやその友達には
害はなく、守ってくれると言ってくれてすんなり怖さが
失くなり逆に会いたくなった。お爺さんは笑いながら
この山自体がトトロでもあるし、キノコや栗もそうだと言った。
何もない土地だったので頻繁に昇っていたのだが、怪我を
した記憶がない。蛇やスズメバチ、熊にも襲われたことがない。

トトロみたいな者が守っていてくれていたんだなぁと
ふと思い出したので書いてみました。長文すみません。


総出で戦

495 :何かの戦 1/3:2010/10/27(水) 16:25:57 ID:Xi9219jc0
これは今現在、俺も信じきれていないので、他人は誰も信用しないと思う。
親父の大法螺かもしれないし、幻覚、幻聴の類かもしれない。
しかし、目の前で様子を見ているのでまるで嘘とも思えない。
なんともいえない妙な感じがしているので出勤前に書き込んでみる。

親父は茸採りが趣味なんだ。
毎年8月のお盆過ぎ頃から11月に入る位まで、天気が良いと早朝山に入る。
スーパーのレジ袋をぶら下げて、時期ごとに一定のコースをまわる。
8月22日の日曜日も朝から山に入り、8時位に帰宅した。
俺はちょうど起きたばかりで、親父が山に持って行ったビニール袋から
チチタケ、タマゴタケ、トンビマイタケなんかを出しているところだった。

あまり採れてねえなと思いながら、洗面所で顔を洗っていると、
「なあ、かんなめのまつりって何のことで、何日か知ってるか?」と聞かれた。
「知らん。」と答えると、
「ちょっと調べてくれねえかなあ。」と言うんで、ググってみた。

神嘗祭(かんなめさい・かんなめのまつり・かんにえのまつり)
は宮中祭祀のひとつ。五穀豊穣の感謝祭にあたるもので、宮中および神宮
(伊勢神宮)で儀式が執り行われる。
宮中祭祀の大祭で、その年の初穂を天照大御神に奉納する儀式が執り行われる。
かつては旧暦9月11日に勅使に御酒と神饌を授け、旧暦9月17日に奉納していた。
明治5年(1872年)の太陽暦改暦以降は新暦9月17日に実施するようになったが、
これでは稲穂の生育が不十分な時期になってしまうため、明治12年(1879年)
以降は月遅れで新暦10月17日に行われるようになった。

で、「多分これだろ」と上記のWikiの内容を印刷してやった。
何かぶつぶつ言ってるんで、「何か用事でもあんのか?」と聞くと、妙な話を始めた。


496 :何かの戦 2/3:2010/10/27(水) 16:27:20 ID:Xi9219jc0
今朝も5時頃に出かけていくつか茸を採り、山頂付近で一休みした。
山頂付近に大きな岩が有り、その横の石に腰かけて一服していた。
突然、ザーッと強い風が吹いてきたと思ったら、次の瞬間目の前が真っ暗になった。
目も見えないし、手も足も動かない。親父は脳の血管が切れたと思ったらしい。
しばらく焦っていると、「おい、おい」と呼ぶ声が聞こえ、甘い匂いがする。
誰か来たと思い、「助けてくれ」と言おうとするが声が出ない。
また声が聞こえる。

「すまんなあ。誠にすまんなあ。すぐ元に戻すが一つ頼みを聞いてくれ。
久方ぶりに総出で戦に出にゃならなくなったが、後に残すこいつが心配だ。
他の奴らは先に出陣したんで頼める奴がおらん。ぬしに是非とも頼みたい。
帰った暁には礼をするぞ。かんなめのまつりの頃までには迎えに行くぞ。
もしも迎えに現われなんだら、信州飯綱の御山を頼れ。頼んだぞ、頼んだぞ。」

こんな内容の声が聞こえたと言う。
聞こえてからすぐに、ぼーっと視界が明るくなり、しばらくすると普通に目も見え、
手足も動くようになった。石の上に座ったままであり、あちこち動かしてみたりしたが
体調も別に悪くない。頭痛もしない。
何が起こったのか考えたが、怖くなって山を下り、家に帰って俺に質問という経緯だったらしい。

親父も俺もやはり脳疾患だと考えた。親父は知人の医者に電話を掛け、症状を話して
しばらく様子を見ろと言われていた。だが、強引に翌日の脳ドッグの予約を捻じ込んでいた。
そんな騒ぎをするものだから、俺はその日外出せずに家に居て、親父は寝込んでいた。
昼時になり、饂飩を食べたのだが、親父が頻りに首を傾げている。
味がしないらしい。それから親父は1日の内の半分位味覚が無くなった。
はっきりと、何時〜何時までというのではなく、味がしたりしなかったりしていたという。
次の日、早速脳ドッグへ出掛けた。1泊し、検査して帰って来たんだが、
年齢相応の古い小さな梗塞の跡は見られるとの事だが、特に異常は無かった。
血液検査も異常無しで、味覚の異常は原因不明で経過観察。
その翌日も、大学病院の脳外科にかかったが異常無し。
検査で異常がないと言われて、やっと落ち着いたみたいだった。


497 :何かの戦 3/3:2010/10/27(水) 16:28:30 ID:Xi9219jc0
落ち着いてくると、親父も声の内容が気になってたらしく、
「なんか連れて来たせいで、おかしくなったのかな」とか
「10月になれば治るのかな」とか、色々話をした。
飯綱山を調べると、日本八大天狗の内の飯綱三郎という大天狗がいるとある。
結局、体調は問題ないんだから、「山の天狗に何かを押し付けられたんだろう」ということで、
10月中旬まで様子を見ようということになった。

普段は、味がしない事があるだけで普通に生活できていたんだが、時々、後頭部の髪の毛を軽く
引っ張られる感覚があったらしい。
親父は頭頂部が大分ハゲかかってきているので、場所の問題ではなく非常に不愉快だと怒っていた。
食事が味気ないせいなのか、体重も8kg程減ったらしい。

今月の10月15日の夜、親父は仕事帰りに同僚と居酒屋で一杯飲み、23時頃帰宅。
俺は、別の所で友達と飲んでおり不在だった。
帰宅後、風呂に入って24時前には寝たらしいんだが、夢か現かまた声が聞こえた。
「無事に帰って来れたぞ。世話になったなあ。うつしよのぬしらのよ(現世のぬし等の世?)
にても大難がおこるであろうが心配ないぞ、心配ない。山に空きができてこれから忙しくなる。」
と言い、水戸黄門で印籠を出した後の黄門様みたいに大笑いしたところで目が覚めた。
親父はこれで治ったと思い、布団の中から起きだして、サッポロ一番(味噌)を作って
おいしく頂いた。味覚も元にもどっていた。元にというより、何でも美味しく感じるらしい。

親父は約束の御礼を心待ちにしている。俺は、ひょっとすると美味しく感じるのが御礼?
と思っているが、親父に言うと落ち込むので言わない。
目に見える形での御礼というものは未だに無い。
しかし、御礼よりも気になるのが大難だ。何が起こるんだろう。


ウタ

682 :本当にあった怖い名無し:2010/11/05(金) 16:10:12 ID:EzxW/3rT0
学生の時、じいちゃんの田舎の森で迷子になった時の話。
森といってもそんなに広くはなく、子供の時からずーっと探検してるから、
どこがどういう道に出るとかはほぼ把握してる・・・・つもりだったんだが、その日は違った。

30分ぐらいで帰るつもりだったんだが、さあ出口という所まできたはずなのに出られない。
どこまで行っても木、木、草、草。うわーどうしようどうしようと思っていると、30mくらい先に小さな人影を見つけた。
よかった、道を聞こう・・・・と一瞬思ったが、こっちを見たまま動かない。

しばらく固まっていると、ふいに人影が近づいて来た。黒っぽい色のちゃんちゃんこ?を着た、古い感じで、
見た目は人間の子供の女の子そのものだった。が、目がおでこの所に一個しかなかった。
恐怖に全身の毛が逆立っていたら、その子供がウタ(?)って呟いた。
?と俺が戸惑っていると、ダダをこねるように地団太を踏んで、ウタ、ウタ!と騒ぎ出す。

それで、言い方は変だけど、ちょっと恐怖感が抜けてしまった。
(歌って欲しいのか・・・?)
相変わらず一つ目の子(?)は、ウーター!と俺の服を引っ張って騒いでいる。
本当にその子が「歌」の意味で言っていたかどうかなんてわからなかったけど、
とっさに思いついたのがなぜかミニー・リパートンの「ラヴィン・ユー」だった・・・orz

合唱団に入っていた俺は歌にはちょっと自身があって、とりあえずラヴィン・ユーを歌ってみたところ、
一つ目の子はとたんに静かになって、聴いていた。
ラララララ、の所なんか体を小さく揺らしていてちょっと可愛げがあったが、
一つだけの目は、終始俺の方をじっと見ていた。

で、たぶん全部歌ったと思う。大人しかったその子が突然「ン!」と言って
指差した方向を見ると、じいちゃんの家がある村が見えた。
やった、出られる!と思って、瞬間的にもう一度その子の方を見ると、
その子はもう俺の側にはおらず、50mぐらい先にいて、森の奥へ消えていった。
いやいや、ありえない・・・・突然またすごく怖くなって、急いで森から出た。

あれからあの森には一回も入っていない。
怖いのか不思議なのかよく分からない体験だ・・・。


山けらし様

206: 本当にあった怖い名無し:2010/11/10(水) 19:01:54 ID:nOPO0RK70
俺の家は物凄い田舎で、学校に行くにも往復12kmの道程を、自転車で通わないといけない。
バスも出てるけど、そんなに裕福な家でもないので、定期買うお金がもったいなかった。
学校への道は、ちょっと遠回りだけど街中を通る道と、若干近道だけど山越えをする道と2つあるんだが、
俺は山越えで汗だくになるのが嫌だったので、ほとんど街中のルートを通っていた。

ある日、学校の体育館で友達とバスケをしていて
遅くなった俺は、早く帰ろうと自転車で山越えをしようとしていた。
街中に入る道と山道に入る道の分岐点にあるコンビニで飲み物を買って、いざ山越えに。
日が沈み始めた山道は結構不気味で、ひぐらしの鳴く声を聞くと、心細くなってやけに不安になる。
     
戻って街中を通ろうかな…なんて思いつつ、ガッシャンガッシャン自転車をこいでると、
急に「も゛っも゛っも゛っ」ていう、表現しにくいうめき声のようなものが聞こえ、
その瞬間に、何かが背中にドスッと落ちてきた。

上半身をグッと下に押し付けられるような感覚に襲われ、
冷や汗とも脂汗とも言えない妙な汗が、体中から噴き出してきた。
怖くて振り向けずに、とりあえず峠を越えようとがむしゃらにこぎ続けてた。
その間にも背中から、「も゛っむ゛む゛っ」と変な声が聞こえている。

絶対変な物を背負ってしまった。どうしよう・・・
と涙目になって自転車こいでたら、上り坂の終わり、峠の中腹の開けた場所に出た。
息を切らしながら足をついて、崖側の方に目を向けると、小さな女の子が居た。


207: 本当にあった怖い名無し:2010/11/10(水) 19:03:15 ID:nOPO0RK70
夕日の色でよくわからなかったけど、
白っぽいシャツの上にフードつきの上着と、デニムスカートを穿いたセミロングの子。
大体6?7歳くらいに見えた。

車なんて通らない田舎の山道に、しかももうすぐ日が暮れてしまう山道に、女の子がいるはずがない。
ああ・・・ひょっとしなくても幽霊か・・・って思って動けないでいると、
その子は小走りで俺の足元まで来て、俺をじーっと見上げた。
10秒くらい見つめたかと思うと、急に俺の太ももを埃を払うようにパンパンっと叩いた。

「大丈夫だよ、安心して?」と言ってるかのようにニッコリ笑うと、崖の向こう側に走っていって消えてしまった。
 崖下に落ちた!?と思って自転車を降りて覗いてみたけど、崖下には人が落ちた形跡は無かった。
やっぱり人間じゃなかったわけだ・・・
不思議な事に、女の子に太ももを叩かれてから背中の重みも消え、妙な声も聞こえなくなった。

結構暗くなってから、やっとこさ家に帰った俺は、
あの背中の妙なものと峠に居た女の子の事を、ばあちゃんに話した。
ばあちゃんはその話を聞くと、何の木かわからないけど、
 葉っぱのいっぱい付いた枝を持ってきて、俺の頭から背中、腰にかけて2?3回払った。
一体何事かと聞くと、「お前が会ったのは『やまけらし様』だ」と教えてくれた。


209: 本当にあった怖い名無し:2010/11/10(水) 19:04:01 ID:nOPO0RK70
ばあちゃんの話によると、背中に落ちてきた物は、
俺を向こうの世界に引っ張ろうとしたかなり性質の悪いもので、
そのままだったら、確実に引っ張られてたらしい。

そして、峠の途中で会った女の子が『やまけらし様』だそうだ。
『やまけらし様』は山の神様の子供で、全部で12人いるらしい。
普段は人に対して特に何をするでもなく、山を遊びまわってるだけなのだが、
俺に憑いた物がよほど悪かったのか、それを払って捨ててくれたそうだ。

「無邪気で純粋な『やまけらし様』はきっと、とんでもない物を
背負ってるお前が可哀想に見えて、取ってくだすったんじゃろ・・・」
との事だった。

俺はなんとか『やまけらし様』にお礼をしようと、お供え物をあげる事にした。
昔は12足の小さな草鞋を供えたらしかったので、俺も供えようとしたけど、草鞋なんてどこにも売ってない・・・。

ふと『やまけらし様』を思い出すと、なかなか現代風な格好をしていたので、
小児用の動きやすいスニーカーを、12足供える事にした。
とりあえず2足買って、朝の登校時、あの峠の中腹の草むらに揃えて置いていた。

帰りに無くなってるか確認したかったけど、
ばあちゃんの話じゃ、夕暮れの時間は良くないものがうろつくから危ないという事で、
次の朝の登校時にまた同じ場所を見に行くと、靴が無くなっていた。
きっと『やまけらし様』が気に入って、履いてくれたんだろうと思う。

お小遣いの関係で、1週間に2足ずつしか供えれないけど、来週には全部供えれる。
走りやすいスニーカーを履いて、山の中を遊びまわってる
『やまけらし様』を想像すると、自然とニヤけてしまう。

いつかまた目の前に現れてくれないかな・・・
と淡い期待を抱く俺の登校ルートは、自然と山越えになってしまった。


兄貴が山に行く理由

620 :本当にあった怖い名無し:2011/02/04(金) 14:24:26 ID:bRI/bgSN0
俺には歳の離れた兄貴がいる。
兄貴は山や自然が好きで、休日は近所の山をウロウロしていることが多い。

去年の秋頃、いつまで経っても仕事から帰らないと思ってたら、その山に行っていたらしい。
スーツ姿で…orz

「何がそんなに良いんだ?」と聞くと「気になるなら来てみろ」と言われた。
で、一週間くらい前に山へ連れて行ってもらった。

しばらく山を歩き続けると、後ろから誰かが歩いて来る足音が聞こえた。
振り向いても誰もいない。気のせいだと思って前を見ると、兄貴がこっちを見ていた。

「誰もいなかっただろ?」ニヤ
「え、うん」

再び歩き始めると、また後ろから足音が聞こえてくる。
兄貴は歩きながら石を拾い始め、振り向きざまに投げまくった。

ひゅん、ガサ、ひゅん、ガサ、ひゅんひゅん、ガサガサ。
石を投げる音と転がる音が続いた後、茫然としていた俺の前でそれは起こった。

ひゅん、べちん! …ガサ、ガサガサガサガサガサ!!
何か柔らかいモノに当たったような音と、凄まじい勢いで逃げ去る足音。

「真似するなよ? 俺はココに気に入られてるから出来るんだ」続く↓


621 :本当にあった怖い名無し:2011/02/04(金) 14:36:10 ID:bRI/bgSN0
↑続き

兄貴は高校生だった頃、一日だけ行方不明になったことがあった。
なんでも、その山に遊びに行った折、滑って転んで捻挫したそうだ。

携帯は圏外。季節は晩秋。夜はシャレにならない。
で、下手に動いて体力使うのも嫌だったので、そのままボケーとしてたそうだ。

「誰か通るだろ。山歩きの爺様とか、ウォーキングする婆様とか…」
その期待は見事に裏切られ、あっというまに夕暮れに。
兄貴は絶望した。

ふと顔を上げると、少し離れたところで女がコチラを見ていることに気付いた。
紅葉みたいな色をした着物を着た女だったそうだが、その時は別に気にしなかったらしい。
「あ! すみません! 誰か呼んでもらえませんか! 足を怪我したんです!」

すると、女は兄貴に寄り添うように腰掛け、怪我したところを撫でてくれた。
「…あのー、誰か呼んで来てもらえませんか?」
女はそのまま兄貴の足を撫で続ける。

そのまま一晩が過ぎ、翌昼に犬の散歩をしていたオッサンに発見された。
発見されるまでずっと眠っていたらしい。女の姿は消えていた。↓ごめん、まだ続く。


623 :本当にあった怖い名無し:2011/02/04(金) 14:49:58 ID:bRI/bgSN0
↑これで最後。

「寒さや痛さは感じなかった。
寄り添っていてもらったおかげか、温かくて眠くなった」

兄貴はその女の人を探したらしいが、長い間見付けられなかった。
それで山をウロウロし続けたそうだ。「山で会ったから、山で会えるはずだ」って。
ようやく会えたらしいが、どうやら相手は人間じゃなかったらしい。

「人の行ける場所じゃないような所に立っていた。着物を少しも着崩さずに断崖を登れると思うか?
きっと、あの人は神様か何かなんだろう」

今でも山に足しげく通うのは「呼ばれたような気がするから」らしい。


悪い方の山の神サン

207 :本当にあった怖い名無し:2011/03/27(日) 12:28:42.41 ID:qd77rIbiO
うちの実感は関西でお茶農家をやってる。子供の頃はよくお茶刈りを手伝ってた。山葡萄とかアケビとかが懐かしい。茶畑は山の斜面を利用して作られてる。僕は刈った茶葉の袋を担いでトラックまで歩いてたら、ひとつ向こうの山から
「お〜い、こっちや、お〜い」
と叫ぶ声がする。見ると場に似つかわしくない艶やかな着物を着たの男が手を振りながら叫んでるのが小さく見えた。
親にその事を言うと、深刻な顔しながら
「あれは山の奥に引きずり込もうとする悪い方の山の神サンや。呼ばれても絶対に応えたらあかんで」と言われた。
幽霊とはまた違うそうです。色んな格好や声で子供の興味を引いて、山で遭難させて殺すそうです

208 :本当にあった怖い名無し:2011/03/27(日) 12:30:20.00 ID:qd77rIbiO
>>207
すまん、実感じゃなく実家ね


そりゃあ山の神様だ

593 :1:2011/06/28(火) 14:47:53.86 ID:VtXJHMR40
俺が体験した不思議な話。
ちょっと長いけどごめん。

母方の実家は山奥のデカい家なんだが、その家には今は祖父母と叔父叔母と従兄弟(40近いおっさん)が住んでいる。
うちからはちょっと遠いこともあってなかなか行きづらかったんだが、数十年ぶりに母と姉と姉の息子(5歳)と一緒に遊びに行くことにした。

祖父母の家について翌日、真っ昼間から甥っこが行方不明になった。
近所の人までかり出して捜索したのだが、とうとう日も暮れてきていよいよ警察に届けようというところで、玄関に気配を感じて見てみると甥っ子がいる。
隣にはどこかで見たことのあるような、甥っ子より少し大きいくらいの男の子。
みんなに甥っ子が帰ってきたことを伝えると、母は大泣き、姉は泣きながら怒っていたw
そして気づくと男の子はいなくなってた。
俺はどうしてもあの子を見たことあるような気がして気になって仕方なかった。

甥っ子に詳しくきくと、遊んでるうちに裏の山に入ってしまい迷子になっていたそうだ。
どうやって帰ってきたのか訪ねると、「おにいちゃんがつれてきてくれた」と。
「おにいちゃん」の話になると急にテンションの上がった甥っ子曰く、「へびがでたけどおにいちゃんがやっつけてくれた」らしい。
さらに「おなかがすいたけどおにいちゃんがちっちゃいいちごをくれた」らしい。

話を聞いていると、うちのじいちゃんと近所のじいさんばあさんが、「そりゃあ山の神様だ」と言い出した。
最初は「ああ、助けてくれたんなら神様でいいや」みたいな感じできいていたんだが、じいさんたち曰く「山には昔から神様がいて、子供を守ってくれたり、山の生き物を守ってくれる」らしい。
「子供の頃は一緒に遊んだり出来るが、いつの間にか見えなくなって、忘れてしまう」んだそうだ。


594 :2:2011/06/28(火) 14:48:31.82 ID:VtXJHMR40
それで俺は思い出した。
さっき玄関で見た男の子、俺はあの子と子供の頃に遊んだことがある。
小学生の頃、遊びにきたじいちゃんちの裏の山で一緒に虫をとった子がいた。
そいつは流石地元の子供らしく、俺よりずっと虫がいる場所も虫の取り方もうまかった。
あの玄関にいた男の子は、あのとき一緒に遊んだあの子にそっくりだ。

まさかと思っていると、従兄弟がぼそっと言う。
「○○ちゃん(甥)、そのおにいちゃんはこれくらいの背の高さで、これくらいの髪の長さで、女の子みたいな顔をしているおにいちゃんか?」
その特徴は玄関にいたあの子と完璧に一致した。
甥っ子もぶんぶんと頷いてる。
従兄弟は「あー、山の神さんだったんかー。昔よう一緒に遊んだなぁ」と感慨深そうに言った。

俺はそのとき20代前半で、従兄弟とは一回り以上年が離れてた。
なのに、従兄弟と俺は同じ男の子と遊んでいたことになる。

そして驚くことに、近所の人たち(甥っ子の行方不明はけっこう大きな事件になってしまい、かなりのご近所さんが集まっていた)も「あー、その子なら知ってる!」とかなりの人数が言い出した。
うちのじいさんも見たことがあるらしく、うちの母も遊んだことがあるが、叔父(母の兄)は見たこともないらしい。


595 :3:2011/06/28(火) 14:49:17.38 ID:VtXJHMR40
甥っ子の話では「近頃はこの辺に子供がいなくなったから遊び相手がいなくて寂しい」と言うようなことを山の神様は言っていたそうだ。
すると従兄弟はいきなり窓を全開にして「山の神さん!!子供がいないんなら大人と遊んだらいいが!!俺がいつでも遊んだるが!!」と叫んだwww

あとで従兄弟にきいた話では、従兄弟が小学生のとき、川で溺れて死ぬところを山の神様に助けてもらったらしい。

今でも俺は甥っ子と一緒に年に1度は母の実家に行くことにしているが、山の神様は元気に民家にも現れているらしい。
特に従兄弟とは仲が良く、前回遊びに行ったときは俺と一緒に飲もうと大事にしまってあった高い日本酒が、封も開けてないのに三分の一減っていたことに対して従兄弟が本気でキレていたwww
「神さんが寂しくないように、子供がたくさんほしいな」という従兄弟は、めでたく40を超えて今も独身ですwww


逆レイプ

619 :本当にあった怖い名無し:2011/08/09(火) 04:04:25.79 ID:G5AzjhLmO
親父が子供の頃だから30年ぐらい前、親父の兄貴が山神に逆レイプされた
叔父(当時26)は茨城のド田舎で警官やってて見回りがてら山道付近で山菜採ってたら遭遇、山ん中なのに花魁みたいな綺麗な着物着てこっち見てた
異常者かと思って近付いてみたらものすごい美人、圧倒されてたら意識がフワフワしてきて気が付いたら押し倒されてた

↑この事を親父に話した一週間後に叔父は失踪した、駐在所にはお茶と食べかけの弁当が広げたままだったそう
山神ってのは叔父本人がそんな感じがしたって言っていたらしいが俺は違う別の物なんじゃないかと思う、叔父には会った事ないけど別にイケメンじゃなかったって親父が言ってた


白い毛

388 :本当にあった怖い名無し:2011/09/13(火) 09:22:27.64 ID:Lsf4osZDP
ガキの頃の話をひとつ

うちの田舎は茨城の山の中で代々農家をしている
小学生の頃、夏休みになるといつも泊まりに行っていた。

大学生の従兄弟たちが山の中腹にツリーハウスを作っていて
中は虫もあまり入ってこなくて木陰で涼しく昼間は良くそこで昼寝などをしていた。

ある日いつものようにハウスで遊んでいて、ハウスの屋根に登りたくなり
壁に足をかけて登っていたんだけど、足を滑らせて転落。

高さは3m弱だったと思うんだが落ち葉などでクッションになって大事には至らなかった。
ただ落ちた時の衝撃で気が遠くなり意識を失って居た。

気が付いた時には意識が朦朧としていたが、何故か山道を家に向かって下っている。
鼻につく獣臭と真っ白な毛が目に入る。
何かに運ばれてるんだなと思ったが怖さはなく何故か安心できてまた気を失ってしまった。

次に気がつくと田舎の家で布団に寝かされていた
家族みんなで俺の顔を枕元でじっと見つめてて、気がつくと良かったねと。
何でも田舎の納屋で頭から血を流して倒れていたそうだ。

運ばれていた事を話すとじいちゃんが「それは山神様だ」と涙ぐんで話してくれた。
その後じいちゃんと親父が酒と収穫した野菜などを持って山の祠に供えてきたらしい。
俺は頭部裂傷と手足打撲で済んだが動けず、完治してから祠にお礼に行ったよ。

おしまい。


神の婿

987 本当にあった怖い名無し 2012/12/24(月) 02:41:35.77 ID:GOI2J1GDP
眠れないがてら昔話でも

俺の地元は山中にある集落だった
だったというのは今ではその集落は過疎や車が必須などの不便さによりほとんどの世帯が山の麓の町に移り住んでるため今では先祖の墓が残っている程度だ
俺は中学卒業と同時に県外の高校に下宿し、地元に帰るのは1年に一回というのもザラで高校卒業後就職してからはほとんど帰ることもなくなった

就職して3年ほどたった時実家から一本の電話があった、近いうちに実家に帰って来いというたまにくる催促の電話だ
俺は仕事が忙しくない時期だったこともあり久々に顔でも出してやるかと自家用車で実家に帰省した


988 本当にあった怖い名無し 2012/12/24(月) 02:42:21.43 ID:GOI2J1GDP
帰省すると記念日でもないのに親戚一同が揃っていてお帰りと歓迎してもらったが
その時は別に祝日でも正月でもなくただの日曜日だったのでこの集落に住んでない親戚がいるがなぜだろう?と思った

すると今では故人の祖父が「いやぁ久しぶりだね、これでやっと祝言の儀ができる、よかったよかった」
親戚一同良かったねぇと言っている

俺はお見合いでもさせられるのか?と思いまだ結婚する気はないとやんわり断ろうとすると
祖父は笑いながら「大丈夫、そういうのじゃないんだよお前にもいいことだからちょっと老人の気休めに付き合ってな」と笑っていた

その後俺はゆっくりと風呂に入り親戚と他愛もない話で盛り上がりやけに豪華な飯を頂いた、珍しく山の中なのに海の幸をたんまりと食べさせてもらった

夜の9時ごろだろうか、祖父に呼び出された
祖父の部屋までいくと祖父と親戚の年長者が車座で座っていた
祖父に促されて車座の一端に座るといきなり「お前彼女とか結婚を考えている相手とかいるのか?」と聞かれた
恥ずかしながら20後半にもなり自分は恋人無しの童貞だったので笑い話半分に祖父に言うと本当だな?と念押ししてきたので再度同意した


989 本当にあった怖い名無し 2012/12/24(月) 02:45:00.64 ID:GOI2J1GDP
なーんか居心地の悪さを感じながらも祖父の話を聞くと「今からお前は神様と契ることになる」と爆弾発言をブチかました
え?神様と?なぬ?とパニクってると祖父は「なんてことはない寝てれば終わるさ」なんて笑っていた

その後俺はあれよあれよといううちに離れに連れていかれた
部屋の中には桶に入った水、布団にまくらが2つ、女物の着物(部屋着?)が掛けてあった
寝ていればいいと言われていたので直ぐに布団に入り寝入った

何かの気配を感じて寝ぼけ眼で腕時計を確認した 深夜の2時ごろだった
何か入ってきた感じはしたが祖父の寝てればいいの言葉を信じてもう一度寝ようと目をつぶった
水で何かを洗う音と衣擦れの音が聞こえた後何か温かいものが布団に入り込んできた、ちょうど自分を後ろから抱くような感触を感じながらもそのまま俺は眠ってしまった

朝起きると体が重く身体中が筋肉痛のようであった
体をほぐすように風呂に入ったあとこれまた豪華な朝食を食べた後また祖父に呼ばれた


990 END 2012/12/24(月) 02:49:36.78 ID:GOI2J1GDP
祖父が話したことを要約すると
この山には女の神様がいて長い間独り身であった
その相手を長らく探していたのだが適当な相手がおらず困っていたのだが丁度お前が年齢も良く相性が良さそうなので当てがった
多分お前は一生結婚できないが死んだら神になれるし今でも山神の婿だこの先の人生いいことがあるだろうと
色々理解できなさすぎたが元々楽観的な性格で結婚もどうすっかなーと考えていたので「うーん...まあいいか」と思いそのまま自宅にに帰宅した

その後10年くらいたったがほとんど浮いた話がないけど大きな病気や怪我もせずにある程度の生活ができている
今ではちょっと神様の婿というのが楽しみになっている
そして俺はいま悲童貞と言っていいのだろうか


異形の男

406 :本当にあった怖い名無し:2013/04/06(土) 18:54:24.73 ID:53VTkOOh0
それでは御言葉に甘えて・・・

うちの一族はもともと九州南部の山間の小さい集落に住んでいた一族で
集落の名前(地名)=一族の苗字、集落全体が親戚って感じです。
そんなうちの一族に伝わる不思議な話です。

もともと別の土地に住んでいたらしいのですが
戦に追われ、一族郎党でその山に逃げ込みました。
着の身着のままで上は老人、下は乳飲み子で
食べるものもなくなり、山中で精も根も尽き果てて
あたりも暗くなり、もはやこれまでか…とみんな
諦めかけたそうです。
すると闇の中から人影が現れ言いました。
「こんな夜中に幼子を連れて山に居る輩がいるといわれて
様子を見に来たら、本当にいるとは驚いた」
地元の人間が警戒して偵察に来たと思った長老が
明日になればすぐに立ちさる
申し訳ないが見逃してくれ、と頼みました。
人影は、疲労困憊の一族を見回し、しばらく考えると
「ここでは夜露をしのぐには辛かろう。
あっちに窪地がある。そこで火を焚き暖を取るといい。」
そういうと山の中に去っていきました。


続きます414 :本当にあった怖い名無し:2013/04/06(土) 19:27:21.55 ID:53VTkOOh0
その場にとどまっても仕方ないと
言われた通り窪地に移動して一夜を過ごしました。
夜が明けて、とりあえず移動しようとすると
山の中から「鷹のような異形の男(口伝のまんま)」が
イノシシを担いで現れました。
驚いていると「姉者のお恵みじゃ。喰え」と言いました。
その声は昨晩、窪地を教えてくれた人影の声でした。
警戒しながらも腹をすかしていた一族は
有難く頂きました。

ご飯を食べてる間、「鷹のような男」は
長老たちに、どうしてここにやってきたのか
これからどこにいくのか聞いてきました。
今迄住んでいたところを追われたこと
行くあてはない、と答えました。
「鷹の男」は話を聞くと
「このまま山を下ると川にあたる。そのまま川沿いに下ると
大きな岩がある。その辺りは弟の縄張りだ。
話は通してあるからそこに集落を作るといい」
そういうと、いつの間にか居なくなっていました。

あれは山の神の使いに違いないと思ったご先祖様は
言われた通り川沿いにあった大岩の近くに集落を立てて
以降、大岩周辺にいる神様を「山裾さま」
山中で出会った「鷹の男」の神様を「山中さま」
「鷹の男」が言っていた「姉者」を「山上さま」
と、呼んで奉りました。


以上が、小さいころに聞かされた集落創立の昔話です。


415 :本当にあった怖い名無し:2013/04/06(土) 19:38:11.79 ID:53VTkOOh0

ちなみに集落近くにいらっしゃる所為か
山裾様の目撃例が一番多く、かなりの人が
川沿いの大岩で日向ぼっこをしている大きな梟を
みています。
大岩近くで川遊びをすれば水難に遭わないといわれて居たので
夏になると子供たちがよく泳いでいるのですが
その子供たちを楽しそうに大岩から見ている山裾様が
目撃されています。

逆に、山上様は見たという人はおらず
その存在も山中様の「姉者」という発言と
山頂にある祠からしかその存在は確認できません。


お魚さん

125 :1/3:2013/09/04(水) 12:24:36.59 ID:t2swaUD+0
昔、山に入って遊ぶのがマイブームだった時の事

17歳頃だったか、山で運悪く野良犬に追いかけられてしまい
逃げてる最中に2mくらいの高さの崖?から足を挫きつつ転げ落ちた
アドレナリン出まくりの状態だったから恐怖とかは全く感じず
ひぇぇぇぇぇwwwwwって思って爆笑しながら落ちた       

気がついたら石を枕にして気を失ってた
しかも夜になってて、怒ったら2mくらい殴り飛ばされるほど
恐ろしい父親を思い出して「やべっ早く帰らなきゃ!」って凄い焦りながら立ち上がったんだけど
たった瞬間立ちくらみでぶっ倒れて動けなくなった

やばいやばい…とは思うんだけど、やばいのベクトルは
「夜の山に一人でいること」とか、「お化けが出そうなほど暗い」とかじゃなくて
完全に「父親に殴り飛ばされる恐怖」に向かっていた
子供の頃はとにかく親に怒られることを恐れてたからね


126 :2/3:2013/09/04(水) 12:25:12.64 ID:t2swaUD+0
さてどうしたもんか…と思っていたら、視界の端を何かが横切った
ネズミか?と思って視線をめぐらすけど何も無い
気のせいかと思っているとまた…といった感じで、暫く弄ばれていたと思う
いい加減ブチ切れそうになった辺りで、「大丈夫か?」と声をかけられた
人の気配なんて全然しなかったから、すっごいびっくりして声も出なかった
声がした方を見ると魚の頭をつけた人が立っていた
めだかの学校って漫画に出てくる先生みたいな感じで、すごいツヤツヤだった
びっくりしすぎて声を失っていたら、魚の口がパクパク動き
酒くさい臭いをさせながら、「痛い、するのか?」って喋って
思わず「うわぁ喋った…」って言ってしまった

魚顔だから何を考えているのかわからなかったけど
暫く見つめあった後、「送る」と一言言って魚さんにおんぶをしてもらった
魚だから正面は見えていないんじゃ…という不安をよそに
魚さんはしっかりとした足取りで、子供とはいえ高校生の体をおぶって
黙々と歩いてくれた
本当に感謝の一言だったんだけど、なんか
尾びれが頭を叩くんだよね
気まぐれで動かす尾びれが、ぺちって頭に当たる
一応頭ぶつけてるから、ちょっとした衝撃で具合が悪くなっていくので
申し訳なさを前面に出しつつ尾びれが当たってることを伝えたら
魚さんはちょっと思案した後、再び地面に下ろされた
で、そのまま魚さんは歩き出した


127 :3/3:2013/09/04(水) 12:26:04.83 ID:t2swaUD+0
えぇw置いてくのかよwwと思ってたら、すいーっと体がちょっとだけ浮いて
まっすぐ仰向けに寝た状態で魚さんの後をついていくかの様に動き出した
わけのわからんまま暫く進んだんだけど
薄雲を被っていた月が顔を出したときに体の下にまっくろくろすけみたいなのが
敷き詰まってて、コロコロ転がりながら運んでくれているのが見えた

辺りが見知った風景になってきて、無事家の近くまで辿り着けたんだけど
もうちょっとの所で急に魚さんは立ち止まった
どうやら山から出られないらしく、ここからは一人で行けと…

近くまで来ていたし、体調も少しだけ回復していたので
丁重にお礼を言って家まで自力で帰ったんだけど
真ん中の娘が山に行ったきり、なかなか帰ってこない!ってわけで
家に帰ってからが一番大変だった

今にして思えば、多分あの魚さんは山の神様だったかなぁと思う
山の神様用に用意したお土産の大吟醸が空になってたし、すごい酒臭かったから


(コメント)

日本列島の約73%は山や丘陵なので、日本人は古くから山との付き合いが深く、山にまつわる不思議な話も多いようです。山の神様や山の主の話もその一つで、昔話や民話に語られているようなことが、今も実際に起きているようです。もちろん国土の開発によって、そういった話は減ってきているのでしょうが、街の人間の知らない山の中で、今日も摩訶不思議な出来事が起きているのかもしれません。山の主はともかく、人間を助けてくれるような善い山の神に出会えた人はかなり幸運だと思いますが、そうした場合は感謝の気持ちを忘れず、お礼に食べ物や飲み物を何か供えると良いようです。



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